【チェコ】一枚のタイルから
2015年3月16日
プラハ郊外の駅舎の床には一面、タイルが敷き詰められています。そのいちばん目立つ場所に、「バールタ&ティヒー プラハ」という銘を見つけました。
調べてみると、1899年に創業した実在の会社でした。アール・ヌーヴォー様式がプラハの街を彩りはじめた時期に重なります。そのなかで会社はだんだん大きくなり、建築資材を総合的に扱うまでに成長します。
しかし、第二次世界大戦後に社会主義がはじまると、この会社も国有化されてしまいます。しばらくは創業していたものの、ほどなく廃業してしまいます。
忘れられた存在だったわけですが、工場の建物自体は2013年まで残っていたようで、You Tubeに壊される様子の映像を見つけました。何気なく気づいたことで、意外な歴史を見つけました。
チェコでもスロヴァキアでも、古くて大きな廃工場をたくさん見かけます。どこも歴史と物語をもっているのだと思うと、なんともいえない気持ちになります。
- 増田 幸弘
1963年東京生まれ
スロヴァキアの都・ブラチスラヴァ在住のフリー記者。
ヨーロッパ各地を取材しながら、日本でも取材。新聞・雑誌に特集記事や連載記事を執筆している。
「プラハのシュタイナー学校」(白水社)や「プラハ カフカの生きた街」(パルコ出版)などの著作がある。
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