【オーストリア】王宮前のロースハウス
2015年8月17日
観光客でいつもにぎわう王宮前に、一軒の、ひときわ目だつ建物があります。現在、ライファイゼンという銀行が入っていて、その看板がファサードに金の文字で掲げられています。
この建物を設計した建築家の名前は、アドルフ・ロース。20世紀はじめに活躍した建築家の代表作が、このロースハウスで、1910年に建てられました。
王宮の目の前に突如、出現した近代的な建築に、そのころのウィーン市民は嫌悪感をあらわにしました。
ロースは「装飾は罪」だと考え、機能的な建築を模索しました。過度の装飾が施されたアール・ヌーヴォー様式(ウィーンではセセッション様式と呼ばれます)が人気を集めた当時、ロースの考えはまるっきりその反対になります。
そんなロースの建築も、不思議なもので、いまの目で見ると端正な古典性を感じます。
- 増田 幸弘
1963年東京生まれ
スロヴァキアの都・ブラチスラヴァ在住のフリー記者。
ヨーロッパ各地を取材しながら、日本でも取材。新聞・雑誌に特集記事や連載記事を執筆している。
「プラハのシュタイナー学校」(白水社)や「プラハ カフカの生きた街」(パルコ出版)などの著作がある。
投稿についての注意事項
- このブログへのご質問については、内容によってお答えできない場合や、回答に時間がかかる場合があることをご了承ください。