【ハンガリー】傷ついた帝都
2018年2月12日
社会主義の時代、共産諸国の旧市街はどこも手入れがろくろくなされず、街が黒ずんで見えたものです。プラハのようにすっかりお色直しを終えた街がある一方、いまも停滞しているところがあります。
ブダペストは戦争と社会主義の傷をいまだ癒やしてはいません。興味深い建築がたくさんあるにもかかわらず、いかんせん街の規模が大きいため、どこから手をつけていいのだろうと模索しているようなのです。
しかし、この10年で少しずつ少しずつ改修が進んでいるのもたしかです。アール・ヌーヴォー様式が目を見張る応用美術館も、改修のためにこの冬、閉鎖されていました。プラハのように焦って改修するとなんだかテーマパークみたいな印象になってしまうので、じっくり取り組んで欲しいものです。
廃墟になった建物を逆手にとり、「廃墟バー」として人気を集めているところもあります。それもまた立派な改修のありようだと感じます。
- 増田 幸弘
1963年東京生まれ
スロヴァキアの都・ブラチスラヴァ在住のフリー記者。
ヨーロッパ各地を取材しながら、日本でも取材。新聞・雑誌に特集記事や連載記事を執筆している。
「プラハのシュタイナー学校」(白水社)や「プラハ カフカの生きた街」(パルコ出版)などの著作がある。
投稿についての注意事項
- このブログへのご質問については、内容によってお答えできない場合や、回答に時間がかかる場合があることをご了承ください。