不思議な雰囲気の黄金小路
2008年3月 3日
プラハ城の一角に「黄金小路」と呼ばれる狭い道があります。この通りに軒を連ねる小さな家にはかつて錬金術師たちが暮らしていたとの伝説があり、独特の神秘的な雰囲気が漂っています。
16世紀後半から17世紀前半にかけ、ボヘミア(いまのチェコ)の王となったルドルフ2世は文化を庇護する一方、錬金術に多大なる興味を示しました。天文学者のブラーへやケプラー、画家のアルチンボルドらがプラハに住んだのもルドルフ2世の時代です。
実際にはプラハ城で働く庭師などが住んでいて、錬金術師が住んだ事実はないようです。ただ20世紀文学の「錬金術師」といえるフランツ・カフカが一時期間借りしていたことも、この伝説の背景にはあるのかもしれません。
カフカは『変身』や『審判』などの作品で日本でもよく読まれている小説家で、プラハで生まれました。執筆に集中できる静かな空間を求めたカフカが、黄金小路の家を借りたといわれています。しかし、最近の研究ではカフカは恋人と会うために借りたのではないかともいわれています。
いまはどの家も観光客目当てのお土産屋さんになっています。中にはいると、どの家も狭くて驚かされます。写真の水色の家がその家で、カフカの名前を刻んだプレートが掲げられています。
- 増田 幸弘
1963年東京生まれ
スロヴァキアの都・ブラチスラヴァ在住のフリー記者。
ヨーロッパ各地を取材しながら、日本でも取材。新聞・雑誌に特集記事や連載記事を執筆している。
「プラハのシュタイナー学校」(白水社)や「プラハ カフカの生きた街」(パルコ出版)などの著作がある。
>「錬金術師」
っと聞くだけで不思議〜な気分になりますね。
>どの家も狭くて驚かされます。
ヨーロッパ人、大きいイメージがあるので意外です。
仁丹 | 2008年3月11日 16:46
コメントありがとうございます。
「錬金術師」ってなんか不思議な魅力がありますよね。
いまでいう科学者なんですけれども。
増田幸弘 | 2008年3月11日 17:51