100年前の革新的なデザイン
2008年4月28日
ホホールが設計したキュビスム様式の集合建築の例も、ヴルタヴァ川沿いのヴィラの近くで見ることができます。100年近く前に建てられた建てられたとは思えないほど革新的なデザインの建物でありながら、周囲の建築と違和感を感じさせません。
この集合建築が建てられたのは1913年から14年にかけてのことでした。現代の建築はコンクリートを使い、自在にそのかたちをつくりだすことができますが、ホホールによるこの住宅は煉瓦による石造りである点を見逃すべきではないでしょう。
ホホールの建築に対する考えは、「持続的な拡張と動きの印象」という彼の残した言葉に集約しています。抽象的になりがちな建築家のヴィジョンを、ゴシック様式の要素などを取り入れながら、うまくまとめている点は注目に値します。
それにしてもなぜ世界でもとくにチェコでこのキュビスム様式の建築が開花したのでしょうか。興味は尽きません。
- 増田 幸弘
1963年東京生まれ
スロヴァキアの都・ブラチスラヴァ在住のフリー記者。
ヨーロッパ各地を取材しながら、日本でも取材。新聞・雑誌に特集記事や連載記事を執筆している。
「プラハのシュタイナー学校」(白水社)や「プラハ カフカの生きた街」(パルコ出版)などの著作がある。