道南の森町、函館のいか外伝
2018年11月23日
子どもの頃、今ほど道路が整備されていなかった北海道。函館生まれのボクは父の運転する三輪トラックに乗って、道南の町森町へときどき行った。昭和40年頃の話だ。ジャリ道が多くて1時間半くらい、車の中で退屈さにガマンしながら、アニメの「宇宙エース」や「遊星少年パピィ」の歌なんかを歌いながら当時の漁師町、森町までの移動時間をしのいでいたのだった。今は函館から森町に車で行くのは快適なドライブ。とは言っても仕事で寄っただけなのでワクワクドキドキというわけではないが、JR函館本線のすぐ横、昭和30年代のムード漂う柴田商店に立ち寄った。
ここは「いかめし阿部商店」を購入できる店として知られている恐るべし店なのだ。本州の百貨店などで開催される「駅弁フェア」的なイベントでは、よく第1位の販売数になることが多い定番強者駅弁が「いかめし阿部商店」なのだ。1941年に誕生したこの駅弁を購入できるのは森駅の駅舎内キヨスクとこの柴田商店だけらしいのだ。
しかも、この柴田商店に貼ってある超レトロなポスターが素晴らしい。
「元祖森名物いかめし (株)いかめし阿部商店」でも売っているのは柴田商店なのである。生イカの胴に生米(うるち米ともち米の混合)を詰めて甘辛のタレでじっくり炊き上げたとネットでも出てくるが、まさにその通りのいかめし2つ入って1セット。その美味しさはすっかり有名になっている。
同じイカで有名なのが、函館の和・洋菓子店である柳屋の「いかようかん」だ。ときどき芸能人が函館の土産品として、あまりにも生きたイカにその姿が似ているということで紹介したりしている。1日50パイ限定で販売されている函館名物菓子の一つだ。
柳屋さんの本店はJR函館駅から車で5分程度で行ける万代町というところにあり、ボクは子どもの頃、祖母の家がこの柳屋さんの近くだったこともあり、よくこの店でケーキや和菓子を買ってもらったのだ。先日、こちらの社長と話をしたときにも話題にしたのだが、ボクが生まれて初めてシュークリームを買ってもらったのもこの店なのだ。もちろん、場所は同じだが店舗はリニューアルされ、商品も変わってはいるが、どこかほのぼのとした温かさがお店から感じられるのは、今も昔も変わりはない。それがとってもうれしくあったりするのだ。
- 浅井 精一
いつのまにかすっかりオヤジになってしまったことに気がついた昭和34年生まれの男。函館出身で母校の函館西高の大先輩が北島三郎、一年後輩が辻人成(といっても面識は無い)。札幌の大学を卒業後、タウン誌編集や10年以上ホテルマンを経験するなどして、現在は編集プロダクション(株)カルチャーランド(札幌・社員24人)代表。手塚治虫マニアであること、昭和40年代のプロレスファンであることで、ごく一部に有名。
投稿についての注意事項
- このブログへのご質問については、内容によってお答えできない場合や、回答に時間がかかる場合があることをご了承ください。