485系特急電車で訪れた、佐伯を巡る
2011年2月23日
今回の「ぶらっ人 from 福岡」は、廃止間近の485系特急電車に乗って訪れた、大分県佐伯市をご紹介します。
佐伯は大分県南東端に位置し、番匠川に広がる沖積平野に市街地が広がっています。豊後水道や祖母傾山に面し、海の物、山の物に恵まれています。
城下町として栄えた中心部には、「武家屋敷跡」(上)、「櫓門」(下)が残ります。櫓門は、三の丸御殿の正門として1638(寛永14)年に創建され、大分県文化財に指定されています。周辺は、「歴史と文学の道」と呼ばれています。
佐伯の街並みを見下ろす、「城山」には1606(慶長11)年、毛利高政が築いた佐伯城がありました。現在は、山頂の石垣のみが残ります。明治の文豪・国木田独歩は1893(明治26)年に教師として佐伯に1年間滞在し、四季折々の風景が楽しめる「城山」への道のりを楽しんだそうです。
市街地から国道10号を南下すると、「道の駅やよい」(上)に到着。海・山・川の特産品を販売。
九州屈指の清流・番匠川をテーマにした淡水魚水族館「番匠おさかな館」(中)、温泉「やよいの湯」(下)もあり、県内外の人たちで賑わっています。
今や、佐伯といえば寿司の街として知られています。瀬戸内海と黒潮がぶつかる豊後水道は魚介の宝庫。佐伯魚市場には、毎年350?400種の魚が水揚げされるそうです。
数ある寿司屋の中で訪れたのは「つね三」。地元の人たちにも愛されている寿司屋さんです。
「つね三」のお勧めメニュー「あじ寿司とうどんセット」790円。新鮮な鯵の寿司5カン(上)に、佐伯名物・ごまだしうどん(下)が付いています。煎りたてのごまをすり、エソ、鯛、イサキなど魚の身を混ぜて作った"ごまだし"を、うどんにのせて頂くのが、ごまだしうどん。佐伯を代表するおふくろの味です。ピチピチで大ぶりの鯵寿司、ごまと魚の風味がいい塩梅のうどんは、美味しいのはもちろん、ボリューム満点です。
「おまかせ寿司」1680円は、地物8カンに小鉢が付いています。佐伯の寿司らしく、大ぶりに切られたネタは、ひと口で食べきれないほど。佐伯の寿司を堪能しました。
佐伯駅から、再び485系特急「にちりん」に乗車し、別府駅へ戻ります。ホームの乗車案内には、佐伯の名物・名所が描かれていました。
乗車する「にちりん16号」は、懐かしい国鉄カラーに塗装が変更されていました。
車窓の日豊海岸は、往路より一層、海の色が碧く見えました。
別府の水族館「うみたまご」が見えて来ると、間もなく終点・別府。写真中央の青い橋を左に渡ると、猿で有名な高崎山です。
50年近く、九州の鉄路を駆け抜けて来た485系特急電車は、3月12日の九州新幹線全線開業時に廃止となります。これで見納めです。
取材日:2011年2月7日(月)
次回は、別府の街や温泉を巡ります。
- 東 淳二郎
1957年7月9日生まれ 北九州市門司区出身 56歳
印刷会社のサラリーマン生活を経て、1990年からフリーライターに。
雑誌の取材で、九州中の観光地を訪れ、グルメや温泉を堪能している。
また、もの心ついた時から鉄道ファンで、"乗り鉄"。国内はもちろん、海外でも時間をみつけては鉄道旅を楽しんでいる。