ドイツ魔女街道の旅
2015年9月28日
「ドイツ魔女街道の旅」を始めてまる一年となりました。魔女街道はあまりに長いので、ここで一休みすることにします。最後にこんな魔女の話を紹介します。
シュレースヴィヒ(北ドイツ)にある聖ペトリ大聖堂の天井には北欧神話の結婚の女神フリッグと愛の女神フライヤが空を飛んでいる絵がペアーになって描かれている。キリスト教の教会に異教の女神の絵が消されもしないで残っているのは面白い。なお、この二女神、大聖堂の公式サイトには「魔女」と書いてある。確かに魔術を使い、空を飛ぶと言われているが、どうもすっきりしないので、教会の人に尋ねたら、「魔女でいいのですよ」ときっぱり。どういうことかな?
☆聖ペトリ大聖堂
☆フライア(左)は山猫に、フリッグ(右)は穂のついた茎のようなものに乗っている
☆フリッグの拡大図。1280年~1300年(絵葉書より)
コーンウォール半島(イギリス)のボスキャッスルにウィッチクラフトミュージアムがある。1950年代にイギリスで始まったウィッカ運動(異教の女神崇拝運動)の提言者G.ガードナーが友人と作ったものである。辺鄙な場所だが、それなりに訪れる人はいる。
☆ウィッチクラフトミュージアム
☆展示室内
☆こんなものも展示されている
旅の記念に魔女人形はどうだろう。今は三角帽子で気味の悪い顔をしたステレオタイプの魔女が大勢を占めるようになったが、ハルツ本来の魔女はスカーフをかぶったり木彫り人形か優しい顔のお婆さん人形である。
☆これがハルツの代表的な魔女
☆優しいお婆さんタイプ
☆キーホルダー
- 西村佑子(にしむら・ゆうこ)
うお座。早稲田大学大学院修士課程修了。
青山学院大学や成蹊大学の講師を経て、現在はモアビートプロモーションの「ドイツセミナー」講師。
これまでに「グリム童話の魔女たち」展(栃木県いしばし町グリムの館)の企画・監修やドイツ魔女街道ツアーの同行講師、
薬草専門誌に連載記事を掲載するなど、ドイツの魔女と薬草にかかわってきた。
主な著書に『グリム童話の魔女たち』(洋泉社)『ドイツ魔女街道 を旅してみませんか?』(トラベルジャーナル)、
『魔女の薬草箱』『不思議な薬草箱』(いずれも山と溪谷社)、『ドイツメルヘン街道夢街道』(郁文堂)など。