魔女の噴水(2)
2015年2月12日
「ヴァルプルギスの夜に、悪魔は魔女の祭壇で行う宴の準備をし、魔女たちは魔女の噴水から水を飲んだ」とハルツの伝説は伝えている。ハルツの町には魔女人形や魔女グッズは山ほどあるが、「魔女の噴水」が少ないのは意外である。ブロッケンの画家と言われたレッテルブッシュ(1858-1934)が描いた画「魔女の水盤」は彼の想像画だろうか。
☆ブロッケン山頂にある魔女の祭壇
☆「魔女の水盤」
それでもヴェアニゲローデのニコライ広場で魔女の噴水を見ることができる。過去、現在、未来をテーマにしたという現代彫刻家の作品である。中央のすべすべした球体が現在で、その上部を覆うように伸びている枝がこの町の過去を表しているのだそうだ。離れたところの円柱に腰かけている魔女のような人物は未来を見据えているという。
☆ニコライ広場の魔女の噴水
☆ハルツに関係の深いゲーテやハイネの顔もある
☆オートバイにまたがって空を飛ぼうとしている魔女たち
☆どんな未来を見ているのだろう
ゴスラー(ニーダ-ザクセン州)は鉱山開発によって初期の神聖ローマ帝国を経済的に支えた歴史ある町だった。マルクト広場にある噴水は帝国の鷲を飾った由緒のあるもの。ヴァルプルギスの夜の日だけ赤い水が噴き出していたが、最近はなぜか中止になってしまい残念である。
☆ゴスラーのマルクト広場
☆赤い水が噴き出す噴水
((3)に続く)
- 西村佑子(にしむら・ゆうこ)
うお座。早稲田大学大学院修士課程修了。
青山学院大学や成蹊大学の講師を経て、現在はモアビートプロモーションの「ドイツセミナー」講師。
これまでに「グリム童話の魔女たち」展(栃木県いしばし町グリムの館)の企画・監修やドイツ魔女街道ツアーの同行講師、
薬草専門誌に連載記事を掲載するなど、ドイツの魔女と薬草にかかわってきた。
主な著書に『グリム童話の魔女たち』(洋泉社)『ドイツ魔女街道 を旅してみませんか?』(トラベルジャーナル)、
『魔女の薬草箱』『不思議な薬草箱』(いずれも山と溪谷社)、『ドイツメルヘン街道夢街道』(郁文堂)など。