富士山に触れる〜宝永火口トレッキング
2013年11月25日
新幹線から何度も、いや何十回も眺めている霊峰富士。
姿を見せてくれる確率は決して高くはないが、美しい姿を見せてくれた時は、しばらくその姿から目を離すことができない。
それは雪を被った冬の姿も、青々しい夏の姿も変わりない。富士の姿に感動し、富士は日本一の山だといつも誇りに思う。
富士山に登ったのは高校主催の自主参加の富士登山以来、2回目だった。
高校の時は御殿場側の5合目から山頂を目指したけども、時間が限られ、8合目あたりで戻ってきた。
今回はそもそも頂上まで行く登山ではなかった。
富士宮口の標高2,400mの5合目から6合目あたりまでを歩く「宝永火口トレッキング」。
富士登山というと、山小屋で雑魚寝して、高山病とも戦いながら早朝に山頂を目指すというイメージがあるかも知れないが、
このトレッキングは、気軽に富士登山気分を味わえるおすすめのコースである。
もちろん、気軽と言っても、夏でもTシャツ、サンダルで行けるわけではない。
僕が行った11月初旬では、5合目の気温は0℃、手袋は必須でありそれなりの防寒具も必要である。
歩く道も火山岩がごろごろ転がっており、スニーカーでは危険でもある。
ただ、登りはややきついものの、まったく諦めるような登りではない。
ちょっと頑張れば、6合目に辿り着き、このコースのメインである宝永火口が見えてくる。
宝永火口は、約300年前の1707年の宝永噴火でできた火口である。
その火口の姿は富士山全景の雄姿に負けず劣らずの雄大さを感じさせてくれる。
富士山が火山であることを改めて感じさせてくれるその光景は、新幹線から見る富士山では想像がつかない。
山頂を見上げれば、雪を覆った富士が見える。
頂上まで行かなくとも、その姿を見るだけでも富士山に触れたことは実感できる。
6合目まで登れば、下りは楽である。
ただし、油断は禁物である。相変わらず火山岩はごろごろしているし、足を取られれば危険も伴う。
そこは慌てず雄大な富士を眺めながら歩くといい。
同じ道を戻る手もあるが、帰りは樹林コースから帰ることもできる。
せっかくなら、このルートでぐるっと1周回ってきたい。
「宝永火口トレッキング」はパンフレット等では、60分のコースと書いてあるが、
高山トレーニングをしに来ているわけではないので、景色を楽しみながら90分くらいはかけたい。
富士宮側からのアフター富士登山には、田貫湖がいい。
自分が登った富士山が美しく湖面に映える姿を眺めながら余韻に浸る。
頂上からお日様が顔を出すダイヤモンド富士が有名な湖であるが、初めて訪れる者にとっては、普段着の田貫湖でも十分である。
すぐそばには、名勝・白糸の滝、音止めの滝もある。
滝つぼ近くにあった売店の移転工事等で現在は滝のすぐそばまでいけないが、富士山の世界文化遺産を構成する資源として合わせて訪問したい。
富士宮口の5合目までは車でももちろん行けるが、JR富士宮駅、富士駅、新富士駅から定額タクシーも出ている。
また、夏季から10月末までは、定期バスも出ている。
富士登山が遠い存在だと思っている人が多いと思うが、富士山は案外身近な存在なのである。
富士登山は7月から8月がオンシーズン(登山可能な時期は11月中旬まで)。
ぜひ、気軽な標高2,400mの富士山トレッキングを。
※文章・写真・コース・山の状況などは取材時のものです。
- 田中 三文 (たなか みつふみ)
愛知県豊橋市生まれ。
出版社勤務を経て、現在は三菱UFJリサーチ&コンサルティング 政策研究事業本部 上席主任研究員。
愛知大学地域政策学部非常勤講師(観光まちづくり論)
地域を盛り上げる観光事業や集客計画など、手がけてきたプロジェクトは数知れず。
2012年より2014年まで昇龍道プロジェクト推進協議会・台湾香港部会長を務め、
同エリアのインバウンド促進計画や外国人受入環境整備などにも力を注いでいる。
旅と写真とロックを愛する仕事人で、公私ともに、さすらいの旅人として各地を巡っている。
日本の真ん中に位置する中部北陸地域の形は、能登半島が龍の頭の形に、三重県が龍の尾に似ており、龍の体が隈無く中部北陸9県を昇っていく様子を思い起こされることから同地域の観光エリアを「昇龍道」と呼んでいます。
この地域には日本の魅力が凝縮されており、中部北陸9県が官民一体となって海外からの観光客誘致を促進する「昇龍道プロジェクト」も好調です。このブログでは、「昇龍道」の四季折々の姿を写真と文章で紹介していきます。
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