旅人気分でアートめぐり、あいちトリエンナーレ2016
2016年9月 5日
国内最大級の国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2016」が8月11日に開幕した。
今回で3回目の開催となり、知名度の高まりを示すかのように開幕初日の入場者は1万人を突破した。
全国でも瀬戸内国際芸術祭や越後妻有トリエンナーレなど、多くの人が訪れる芸術祭が各地で開催されており、
今や芸術祭は旅の人気アイテムのひとつとして確立されている。
今回のテーマは、「虹のキャラヴァンサライ 創造する人間の旅」。
まさに旅人気分で現代美術に刺激されながら各地を回ってきた。
主な会場は名古屋市と岡崎市、豊橋市のいずれも「まちなか」。
都市の現在の姿と現代美術のコラボレーションが最大の魅力でもある。
既存の美術館や劇場なども活用しているが、
空きビルや都市空間の空きスペース、あるいは古民家などの活用がより興味を惹いた。
たとえ現代美術への関心がなくとも、普段見られない都市空間の裏側を見られるという興味で回るのも面白い。
そして、アートをきっかけにその町のことを知る。それだけでも十分、町歩きとしては堪能できると思う。
アート鑑賞は、現代美術に限らず、それぞれの感性や感覚に依るところが全てなので、
作品ひとつ一つに詳しくは触れない。
これらのアートの姿を見てどう思うかは、正解もないし、良し悪しもない。
旅人の思いのままに、本テーマのように創造力を働かせながらアートを味わうのがアートめぐりの旅の面白いところでもある。
メイン会場とも言える愛知芸術文化センター会場の作品群。
名古屋市美術館前には参加型のアート。そして美術館内でもアートは展開されている。
名古屋の繁華街、栄の空きビル、空きスペースを活用したアート群。
その空間の光、音、質感、空気感などの活用が面白い。
栄の隣のエリアでもある長者町繊維街の各会場。
繊維の町の歴史や産業文化を意識した作品は、まさにここならではのアートだ。
名古屋の栄エリアで活躍する自転車タクシー「ベロタクシー」もアートのひとつ。
少し歩き疲れたら利用するのも特別な気分になれるだろう。
岡崎市内の会場は、名鉄・東岡崎駅から徒歩あるいはバスで行ける所に点在する。
東岡崎駅の駅ビルに始まり、川沿いのビルや中心部の商業ビルの活用、さらに国の登録有形文化財にも指定されている古民家の活用など
バリエーションは様々だ。
豊橋市内の会場も既存の劇場のスペースを活用したものから、
名古屋、岡崎と同様、ビルの空きスペースの活用したものまで多彩なアートが見られる。
いずれも豊橋駅から歩いて回れるエリアにあり、夜間には影絵のような模様を館外に映し出す巨大な壺など、
この期間中、豊橋の町の姿のイメージを変えるほどのインパクトがある作品もある。
「あいちトリエンナーレ2016」の会期は10月23日まで。
現代美術の展示作品以外にもダンスやオペラなど様々な舞台芸術や映像プログラムなどのイベントも各種開催される。
夏から秋へ、アートをめぐるにはよりよい季節がやってきた。
http://aichitriennale.jp/
- 田中 三文 (たなか みつふみ)
愛知県豊橋市生まれ。
出版社勤務を経て、現在は三菱UFJリサーチ&コンサルティング 政策研究事業本部 上席主任研究員。
愛知大学地域政策学部非常勤講師(観光まちづくり論)
地域を盛り上げる観光事業や集客計画など、手がけてきたプロジェクトは数知れず。
2012年より2014年まで昇龍道プロジェクト推進協議会・台湾香港部会長を務め、
同エリアのインバウンド促進計画や外国人受入環境整備などにも力を注いでいる。
旅と写真とロックを愛する仕事人で、公私ともに、さすらいの旅人として各地を巡っている。
日本の真ん中に位置する中部北陸地域の形は、能登半島が龍の頭の形に、三重県が龍の尾に似ており、龍の体が隈無く中部北陸9県を昇っていく様子を思い起こされることから同地域の観光エリアを「昇龍道」と呼んでいます。
この地域には日本の魅力が凝縮されており、中部北陸9県が官民一体となって海外からの観光客誘致を促進する「昇龍道プロジェクト」も好調です。このブログでは、「昇龍道」の四季折々の姿を写真と文章で紹介していきます。
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