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コラム カメラマンが行く!プロゴルフトーナメント

本年度の男女ツアーが終了

本年度の男女ツアーが終了

賞金王の裵相文、獲得賞金は¥151,078,958(海外含む)2位の高山忠洋との差は5,000万以上。

賞金王の裵相文、獲得賞金は¥151,078,958(海外含む)2位の高山忠洋との差は5,000万以上。

 先日、本年度の男女ツアーが終了した。賞金王は裵相文、賞金女王はアンソンジュ、ともに今年もまた韓国勢だ。
男女とも賞金王争いというより後半は独走に近い感じがした。特に男子ツアーについて今年の感想を書こう。
韓国選手の強さが際立ったったことは言うまでもないが、日本の有力選手が全体的ににイマイチだったこともある。
まず、石川遼の爆発がなかった、石川はドライバーの安定感を欠き右に左に曲がっていたのが印象深かった。カメラマンとしてはいつも石川を林の中で撮影していた記憶が多い。フェアウェイキープ率も昨年の71位から106位にまで後退。しかし賞金ランク3位はさすが、リカバリーの名手だ。期待の石川遼がその状態なためか?池田勇太も1勝はしたものの何か乗りきれなかった。この2人の不発が韓国選手の活躍を後押ししてしまった感じも否めない。
そんな中、新たなスターも誕生。三井住友VISA太平洋マスターズではアマチュアの松山英樹が優勝。2007年の石川遼に続く快挙を成した。しばらくプロになる予定はないというが、いずれはプロで大活躍するだろう。大胆不敵な19歳は来シーズン2年連続のマスターズに挑む。

河井博大はプロ16年目。念願の初優勝が日本プロゴルフ選手権。

河井博大はプロ16年目。念願の初優勝が日本プロゴルフ選手権。

 伏兵的選手が活躍したのも今年の男子ツアーの特徴だ、日本プロゴルフ選手権では河合博大が優勝、とおとうみ浜松オープンでは小林正則。フジサンケイクラシックでは諸藤将次、マイナビABCでは河野晃一郎が…いずれも苦労人といってもよい選手だ。
河井博大はプロ16年目の39歳、プロ入り以来ショットは良いがパットに苦しみシードもままならぬ状況が続いていた、田中秀道の1年後輩で田中を師と仰ぐ、一時はゴルフをやめようと失踪もしたが師匠田中の残した留守電に励まされ復活を決意。昨年賞金42位で再びシードに返り咲いて挑んだ今年、初優勝がプロゴルフ選手権というメジャービッグタイトル。39歳が男泣きに泣いた。

マイナビABCチャンピオンシップで優勝の河野晃一郎。裵相文との6度のプレーオフを制す。

マイナビABCチャンピオンシップで優勝の河野晃一郎。裵相文との6度のプレーオフを制す。

 河野晃一郎はプロ9年目今期初シード何時も笑顔の30歳、マイナビABCチャンピオンシップで現在絶好調の裵相文と2時間に及ぶ6回のプレーオフの末初優勝、こちらは最後まで笑顔だ。あの裵相文をやっつけたとあってギャラリーも最後まで見守り応援し沸いた。河野の同期には宮里優作や岩田寛がおり「あいつらに追いつくには日本で生半可なことをしててもダメ」と2003年米国に渡り4年間ミニツアーを転戦、4勝をあげて帰国し2007年の国内プロテストに合格した。足踏みする宮里優作よりも一足先に優勝したのだから目標達成か?「米国のミニツアーでは参加選手がエントリーフィーを出し合いその中から賞金も出る。エントリーフィーは250ドルくらいなので稼ぎはほとんどない、優勝しても2000ドル程。節約に節約をして何とか生活していました。向こうでは中古車を買い自走で転戦、35万キロは走った。ハングリーですね、マネーゲームの大切さを学びました」また、いつも笑顔でいることについて聞かれると「米国へ渡った頃は英語もあやふや、笑顔でいれば何とかなる、それに笑顔でいるほうがテンションも上がり結果も良い方に行くので」と笑顔の大切さも学んだようだ。「メディアやギャラリーのいない所ではそうでもないです」とも…

石川遼、ティーショットを大きく右に曲げ林の中からグリーンを狙う。この様なシーンが多かった。

石川遼、ティーショットを大きく右に曲げ林の中からグリーンを狙う。この様なシーンが多かった。

 ツアー優勝者には2年間のシード権(プロゴルフ選手権の場合は5年間)が与えられるが、苦労人といわれる選手がその後も活躍を続けられるか?これはまた難しく、初優勝が全てだったようにその後シードを失い消えていく選手も多いのも事実。年齢的ピークを過ぎているためかもしれないし運もあるのか?心と技と体、それにチャンスと運が付いて初めて優勝できるのだろう。それが一生に一度か?何度もあるのか?一度も無いか?。その点、今年の石川遼には運がなかったか?チャンスはいくつもあったと思うのだが…

 今年、日本では東日本大震災があり、円高にタイの洪水、欧州危機、日本はおろか世界が混沌とした中での彼らの姿に勇気と希望をもらったファンも多いだろう。何事も“あきらめない”ことが大切なのかもしれないと感じた1年だったと思う。

2011年12月14日

コラムフォト

取材担当プロフィール

山之内 博章 やまのうち はくしょう (はっちゃんと呼ばれています。)
1967年2月24日名古屋市生まれO型の魚座です
ゴルフフォトグラファーをやってますが、他に人物や商品も撮ります。
特技?なんだろ?カラオケは大好き。