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コラム カメラマンが行く!プロゴルフトーナメント

中日クラウンズ

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大勢のギャラリーを引連れる松山英樹、3年前の石川遼を彷彿させる。

大勢のギャラリーを引連れる松山英樹、3年前の石川遼を彷彿させる。

 今年も大いに盛り上がりを見せた中日クラウンズ。前回紹介した超大型ルーキー松山英樹の連続優勝か?片山晋吾の5年ぶりの優勝か?とワクワクするようなシビアな展開だった今大会。石川遼不在の中ギャラリーの激減など心配もあったが松山英樹が見事その代わりを果たした。というか主役が代わったといってよい。ギャラリー数は昨年より僅かに減っただけ、36599名のギャラリーが会場を訪れた。ま、2~3年前と比べるとかなり少なくなってはいるのだが…

 初日、+2で終えた松山英樹(ちなみにこの日アンダーパーは近藤共弘ただ1人)2日目4バーディー1ボギー通算-1で単独首位に立つ。スコアだけを見るとあまり大したことの無いように見えるが、ホールバイホールを見れば分かるように各選手、バーディーが続けば連続ボギー、前半良ければ後半ガタガタなど今年の和合の難しさを物語っている。特に今年は例年に無いほどの難しいコースセッティングと、連日天気がよくグリーンが硬く速くなっている上に、初日から強い風が出たためフェアウェイが狭くグリーンも狭い和合を更に難しくしていた。

 一昨年ここ和合で女子オープンが開催されたとき優勝スコアが“+12”と女子では手も足も出なかったことからも分かるだろう、秋口でラフが深くセッティングされていたこともあるが、特に女子オープン前のコース改造後、更に難しくなった様な気もするが…

3日目18番バーディー「25歩はあった、3打は覚悟していたが…」片山晋吾らしい1コマ。ギャラリーを魅了。

3日目18番バーディー「25歩はあった、3打は覚悟していたが…」片山晋吾らしい1コマ。ギャラリーを魅了。

 3日目単独首位でスタートした松山、1番でバーディーを決め5番では圧巻のイーグル「完璧なショットが入っちゃった」を奪い通算-4、9番もバーディーとし同組の片山晋吾に7打差を着け、もしやホントに“一人旅”の2連勝?と思われたが和合はそんなに甘くはない、INに入った後半失速。14番で躓いた、1打目は左に大きく曲がりOB、打ち直しの3打目も右に曲がり隣り15番のラフへ。直接グリーンを狙うも手前のバンカーに捕まり目玉状態に。なんとかダブルボギーでしのいだものの、その後はまるで人が変わったように18番まで4連続ボギーを叩いてしまった。前半苦戦した片山が後半4バーディー1ボギーで逆転、「自分もそうだが、ここ和合で前半伸ばした人が後半も良かったこと一度も見たことが無い、僕は前半じっと耐え後半自分に流れが来るのを待った」「入れたり、入れ替えされたり…そういうのをやっている自分が好き、このためにゴルフをやっている」という片山晋吾。18番では25歩はあったというロングパットを決めバーディー。大きく手足を振り上げ久々に“片山らしい”ガッツポーズで大いにギャラリーを沸かした。

最終日18番、松村道央はグリーン奥にこぼすも難なく寄せて優勝を決めた。

最終日18番、松村道央はグリーン奥にこぼすも難なく寄せて優勝を決めた。

 最終日、最終組は-1で単独首位片山晋吾、松村道央+1、スティーブン・コンラン+2。松山は1組前からスタート。コンランと松山は同スコアだがこの場合、前日のスコアカードを先に提出したものがペアリングの上位になる、前日松山は最終組だったので1つ前の組になったのだ。首位スタートの片山だったが前半1バーディー3ボギー、この日は後半も波に乗れず+3、通算+2で3位タイで今大会を終えた、優勝こそ成らなかったが片山晋吾らしいシーンが見られた今大会だった。

 その中で松村道央が踏ん張る「初日、2日目と+1のプレーで耐えていれば上位に入れる」と言っていた通り3日目も-1。最終日前半4バーディー「最高のハーフターンができた」、後半は耐えに耐え11番でダブルボギー、13番でもボギーを叩くも12、15番バーディーで通算-2を維持、前日「松山と回りたかった」と言っていた松村道央。この日も一緒に回ることは無かったが「先輩プロとして松山の2週連続優勝はなんとか阻止したかった、今週は他の誰もが思っていたことと思う」。松村が17番でパッティング中、18番スタンドから大歓声が…「松山が何かやった」、その頃18番グリーンでは猛追する松山がバーディーを決め-1の1打差に迫っていた。そのプレッシャーからか「パーなら勝てる、もうドキドキでした」という18番2打目を“絶対やってはいけない”グリーン奥へこぼしてしまう。「最悪プレーオフでもいい、松山と勝負してやろうと思った」このピッチングを寄せパーセーブ3年ぶりの優勝をきめた。「ターニングポイントは2打目をバンカーに打ち込んだ16番の7mパーパット、これが入り優勝を強く意識しました」。

最終日17番グリーン、ボギーに悔しさを隠さない松山英樹。これが入っていればプレーオフだったかも?

最終日17番グリーン、ボギーに悔しさを隠さない松山英樹。これが入っていればプレーオフだったかも?

 優勝インタビューでは「勝ったのは“松山”ではなく“松村です”」一昨年に結婚した奥さんのことを聞かれると「今日も会場に来て下さっていますが」と何故か敬語…「昨年は不甲斐なかったので優勝を見せることができて良かった」。実は奥さんの香織さんは松村より7つ上の姉さん女房。松村が老け顔なので年上に見られたことは一度もないらしい。表彰式後の記念撮影では一緒にカップを持ち笑顔を振りまいた。

 一方の松山英樹「1打差で敗れたのは悔しい」。16番左ドッグレッグでは果敢に山越え。「あえて計算済み」という手前のバンカーに落とし、得意のバンカーショットで2mに寄せバーディー首位松村と1打差に。しかし17番でグリーン奥に打ち込みボギーまた2打差に開いてしまう。そして最終18番ホール、8mのバーディーパットを沈め拳を天に突き上げた。1打差首位の松村次第でプレーオフの可能性もあったが、松村のパーで優勝の可能性が消えた。

 アンダーパーが中々でない…例年になく難しい和合だったが、今大会を一番楽しんでいたのは松山かもしれない。プロ3戦目で既に賞金ランキング1位の3914万「出る試合は全て勝ちたい」勢いに乗る21歳には怖いものなど何も無い。

2013年05月21日

コラムフォト

取材担当プロフィール

山之内 博章 やまのうち はくしょう (はっちゃんと呼ばれています。)
1967年2月24日名古屋市生まれO型の魚座です
ゴルフフォトグラファーをやってますが、他に人物や商品も撮ります。
特技?なんだろ?カラオケは大好き。