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コラム カメラマンが行く!プロゴルフトーナメント

三井住友VISA太平洋マスターズ

三井住友VISA太平洋マスターズ

本大会2度目の優勝を果たした松山英樹。国内2試合にして8,000万円国内ランク6位。

本大会2度目の優勝を果たした松山英樹。国内2試合にして8,000万円国内ランク6位。

 強い強い…これが世界ランカーの強さだ。三井住友VISA太平洋マスターズに行ってきた。
最終日、終日快晴の霊峰富士が見守る中、松山英樹が大会記録の通算23アンダーで圧倒的な強さを見せ、アマチュア時代の優勝を含め本大会2度目の優勝を果たした。初日首位に立った松山は最終日まで首位を譲らず独走。2位に7打差をつける完全優勝だ。

 日本ツアーの記録は28アンダー。この記録更新を目指して、やる気満々でスタートした松山だったが、6番パー5のティーショットを左林に入れた。ボールは見事に木の根に絡み“籠の中状態”(私はテレビで確認)で1打罰のアンプレヤブル、その後の4打目は池ポチャで痛恨のダブルボギー。さすがに28アンダーは諦めざるをえなかった。続く7番でもボギー、宋永漢との差は3打差に縮まった。さすがに「しんどくなってきた」らしいが、「すごく助かった」というギャラリーの声援に奮起。その後は松山の独壇場で、13番ショートでは一瞬入るかに思われた1打目をピン横40cmに着けギャラリーは大興奮。15番はティーショットをグリーン前のバンカー手前まで飛ばしアプローチで50cmに寄せ楽々バーディー。

 
松山英樹の最終18番セカンドショットは右池に…

松山英樹の最終18番セカンドショットは右池に…

 さらに16番では3.5mを沈めた。もっとも沸いたのは18番パー5、2オン狙いでヘッドスピード53.6m/sで飛ばしたドライバーショットはラフに跳ね返りフェアウェイに残った。「ボールに泥が付いていた」という2打目は右に曲がりまさかの池ポチャ。もはや優勝は疑う余地も無いのだが…。 1打罰打ち直しの4打目はピン横20cmに「あれが入ればもっと格好良かった」池ポチャからのスーパーショットで優勝を決めた。と言うか既に決まっていたようなものだが…。この状況からのスーパーショットも凄いが池ポチャ2回で優勝する選手も珍しい。

 
韓国の新鋭、宋永漢はチャンスとばかり8番バーディー3打差まで縮めたが、その後ボギーが続き再び差は開くばかり…チャンスを活かせなかった。16アンダー単独2位。

韓国の新鋭、宋永漢はチャンスとばかり8番バーディー3打差まで縮めたが、その後ボギーが続き再び差は開くばかり…チャンスを活かせなかった。16アンダー単独2位。

 松山を追う宋永漢は6番の松山のミスで3打差と迫ったが、この日は波に乗れずチャンスを活かすことはできず。Today2アンダー、通算16アンダー単独2位で終える。韓国の新鋭も松山には太刀打ちできなかった。宋の目標も米ツアー。世界のプレイヤーに「学べたことが嬉しかった」。
最終組は「優勝争い」をしていると言うより松山が自分のゴルフを試しながら余裕でプレイしているのに対し、宋永漢はじめ他の選手たちは諦めムード。既に周回遅れだった。
私が撮影していて感じたことは、とにかくヘッドスピードが速い。他の選手と同じ感覚でシャッターを押すとボールが写らないのだ…。後にテレビで確認したことだが18番ティーショットは53.6m/sというスピードだった。今回どのホールでも他の選手を置いていった。ヘッドスピードと飛距離は比例するのだ。飛距離があるとロング(パー5)ではバーディーチャンスも増えるしイーグルの確率も増してくる。パー4ではよりグリーンに近づくためアプローチも容易になる。世界ランク上位選手のデータを見てもすばらしい飛距離の持ち主ばかりだ。やはり世界で戦うには飛距離は外せないのかもしれない。
最近体重が10キロほど増えたという松山。もともと立派な体格の持ち主だが、確かに以前と比べるとよりドッシリと幅が広くなった様な感じだ。

 
ツアー記録の28アンダーは諦めざるをえなかったが、大会記録23アンダーを出し満足げな表情の松山。米国での成果を噛み締める。「米ツアーでは3日ハマらないと勝てないが日本では1日ハマれば勝てる」。

ツアー記録の28アンダーは諦めざるをえなかったが、大会記録23アンダーを出し満足げな表情の松山。米国での成果を噛み締める。「米ツアーでは3日ハマらないと勝てないが日本では1日ハマれば勝てる」。

シーズン中も筋トレを怠らないと言うが、その体力と技術の裏付けあるからこそ精神的にも余裕が持てるのだ。それが2回池ポチャしても動じることなく優勝に繫がる余裕なのだろう。

 米ツアーでは「3日ハマらないと勝てないが日本では1日ハマれば勝てると思えてきた」というように世界で揉まれた松山にしてみれば今日1日は何でもない日常だったのかもしれない。また、そんな松山に付き合わされた他の選手達は“いい面の皮”だったのかも?
 本大会は今回から優勝賞金が1,000万円増額され4,000万円に。日本オープンと世界ゴルフ選手権の賞金を合わせると1ヶ月で3億円稼いだことになる。今回の優勝で世界ランク6位、日本国内ランクも2試合にして8,000万円の6位、日本人のメジャー優勝の日も近いのかもしれない。松山のメジャーか、錦織のグランドスラムか、どちらが早いか?楽しみが1つ増えた。

2016年12月02日

コラムフォト

取材担当プロフィール

山之内 博章 やまのうち はくしょう (はっちゃんと呼ばれています。)
1967年2月24日名古屋市生まれO型の魚座です
ゴルフフォトグラファーをやってますが、他に人物や商品も撮ります。
特技?なんだろ?カラオケは大好き。