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コラム 花紀行

愛知県東浦町「於大公園」のオニバス

愛知県東浦町「於大公園」のオニバス

8月後半に入っても、連日猛暑が続いています。

ということで(笑)、
今月も涼を求めて、水辺の花を訪ねました。

目的地は、愛知県東浦町にある「於大(おだい)公園」。
絶滅危惧種のオニバスを栽培しています。

↑自然の地形を活かして作られた「於大公園」は、
 面積が12.1ヘクタール、外周散策コース約1.4キロ。

カワセミやトンボなどが多く見られ、
「手入れが行き届いている」と、
四季折々の花を楽しむ人やカメラマンに人気の公園です。

↑公園中央付近にある「大池」。
 絵になりそうな、風情ある景色がいい雰囲気です。

園内には池が4カ所あり、
目指す「オニバス池」は、北の端にあります。

まずは、
大池の東側にある公園管理事務所「このはな館」で
涼んで(冷房が効いてる!)、情報を収集してから、
オニバス池へ向かいます。

↑「オニバス池」。
 今年のオニバスの栽培スケジュールや昨年の見ごろなど、
 わかりやすい案内が展示してあります。

↑今年のオニバス池での栽培は6株。
 葉っぱが大きく放射状に広がるので、
 1株1株が、結構場所を取るんですね。

↑手前に並んでいる丸い葉っぱ9枚で1株。
 葉っぱは、1枚が1メートル以上にもなり、
 真ん中に花が付きます。

↑何とも不思議な深い紫色の花。
 思わず見入ってしまいます。
 葉っぱや茎にもトゲがびっしりです。

 写真上部には
 池のほとりに咲いている白い花が水面に映っているのですが、
 まるでバイカモのようにも見えますね。

↑花には、地上に顔を出して開花する「開放花」と、
 水中で自家受粉する「閉鎖花」の2種類があるそうです。

 写真上部に映っているのは、葉っぱの赤ちゃんです。

オニバスの葉っぱは、くしゃくしゃっと丸まった状態から
少しずつしわが伸びるように広がっていくのだそうです。

↑写真手前は、伸びきった葉っぱ。
 右手の葉っぱは、まだ若く、しわを伸ばしている途中のようです。

オニバス池の入り口には、小さなオニバス水槽があって
葉っぱに触ったり、じっくり観察できるようになっています。

↑葉っぱの色はリバーシブルになっていて、
 裏側はこんなに鮮やかな紫色なんです。

 実際に触ってみると、
 葉っぱの表面のトゲトゲは細いのに本当に鋭くて、
 指に刺さるとすごく痛かったです。

↑同じ池の一角には、
 小ぶりな熱帯スイレンも美しい花を咲かせていました。

同じスイレン科だからでしょうか。
花を中心にして放射状に葉が広がっている様子が
オニバスに似ています。

公園管理事務所のスタッフの方によると、
東浦町のオニバスは、
於大公園から少し離れたところにある石浜地区にある飛山(とびやま)池で
昭和56~57年に自生しているのが見つかったそうで、
平成7年から於大公園で保護のための栽培を続けているのだそうです。

1年生の植物なので、
毎年、種から発芽させて丁寧に育てているそうですよ。

ごつい外見とは裏腹に、水深の管理や、カメの食害など、
気を使わなければいけないことが多く、
意外とデリケートなのだとか。

広い園内には、他にも見どころがいっぱい。

↑夏の癒し「ムクゲ」。
 暑い中にあって、涼しげなたたずまいに、ホッとします。

↑水路近くに咲いていた「ノカンゾウ」。
 ユリに似た、ほっそりとかわいらしい花。

↑ネムノキの実。
 豆みたいですね。

↑薬草園やハーブ園も。

ほかにも、遊具広場やマレットゴルフ場、おもしろサイクル広場、
バーベキュー場など、ファミリーで楽しめる施設がそろっています。
(プールもありますが、今年の営業は8月15日で終了しました)

絶滅危惧種でもあり、
何となくその名前のごつさから敬遠していたオニバスですが、
今回、直接触れてみて、
意外な繊細さや、名前の通りのトゲの痛さ、
ユニークな葉っぱの広がり方など、
とても面白い植物ということが分かり、
親近感を感じました。

今のところ、生育状況は例年並みだそうですので、
9月上旬に開放花が多く見られる見ごろを迎えそうとのこと。

9月3日(土)には講習会(自由参加)も行われるそうですので、
興味を持たれた方は、出かけてみてはいかがでしょうか。

取材日:2016年8月20日

DATA

於大公園

愛知県知多郡東浦町大字緒川字沙弥田2-1
 問い合わせ先:0562-84-6166(公園管理事務所)
 ※2016年9月3日(土)10:30~11:30にオニバス池にて「絶滅危惧種オニバスを触ってみよう!」という講習会を開催予定(雨天中止)。

交通アクセス

○公共交通機関
 JR武豊線・緒川駅から徒歩約20分。

○車
 知多半島道路・東浦知多ICから東へ約3.5キロ。
 ◎園内に2カ所無料駐車場有り。

取材担当プロフィール

まころーど
名古屋生まれ、名古屋育ち。
季節の移り変わりを観察するのが大好きなアラフィフ世代。新聞記事制作や、出版社にてガイド本等の制作経験あり。
現在は、旅や町ネタに関する記事を執筆しています。観光や販促のお手伝いも。