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コラム 熱湯コラム「いで湯のあしあと」

岐阜・新穂高の蒸気泉 中尾温泉

岐阜・新穂高の蒸気泉 中尾温泉

 蒸気泉という言葉を初めて聞いた。
高温のため、温泉が蒸気で湧き出るのである。今回訪問した中尾温泉は、東海地方でも珍しい蒸気泉が湧き出ているという。

 先月に引き続き、奥飛騨温泉卿の中で最も大自然が臨める新穂高温泉へ行った。
トレードマークの「ゆ」の大きな暖簾を通り過ぎた入り口に、その珍しい蒸気泉を独自源泉として持つ中尾高原ホテルがある。5月初旬で新緑を期待したが、辺りの木々はまだ芽吹き始めたばかりで、平野部との気温の差を改めて感じる。ホテルに辿り着く前に訪れた、開山したばかりの上高地も、多くの残り雪を目にしたほどだ。

 まだ肌寒さが残る中、暖かいホテルの部屋へ通されてほっとする。
ダブルサイズのツインベッドがゆったりと置かれた部屋は、広々70m²。部屋だけでなく、館内全ての家具は、センスのよい飛騨家具で施されており、贅沢この上ない造りである。

 早速その珍しい蒸気泉につかる。
内湯のみのシンプルな造り。無色透明でさらりとした単純泉は、活火山である北アルプスの焼岳からの蒸気で、84.5度の高温源泉となる。源泉そのままでは熱すぎるため、北アルプス山麓の湧き水で加水し、温泉として利用している。まさに自然界からの恵みをそのまんま頂戴している、ありがたい温泉なのである。クセのない蒸気泉でたっぷりと泳ぎ、もうひとつのお楽しみであるダイニング・ルームへ向かった。

 ホテル名に「四季のあじわい」という枕詞がついているだけに、シェフが腕によりをかけたフレンチイタリアンのフルコースを、地元で採れた新鮮で色鮮やかな野菜とともに味わうことができる。高温泉を利用して栽培したドラゴン・フルーツのソースで味付けした美しいオードブル、蕎麦粉で打ったクリーム・パスタ、A5等級の飛騨牛ステーキ、そして専属パティシエによるドルチェの盛り合わせ。奥飛騨の旬をぎゅっと凝縮したフルコースを、思う存分満喫した。

 翌朝、朝風呂に入ったあと、美味な洋朝食をいただき、ダイニング・ルームのテラスで、北アルプスの山並みを眺めながらコーヒーを飲んだ。今はまだ早いが、夏には深緑と青空のコントラストが、秋には紅葉の絨毯が、冬には澄んだ空気の中、どこまでも続く美しい雪景色が望めるだろう。余談ではあるが、夜には満天の星空の中に、運がよければ流れ星、さらによければ未確認飛行物体も確認できるらしい。

 ― このホテルのコンセプトは、『ありがとう』なんです。
と、オーナーである石田社長が仰った。
この美しい大自然の景色を眺め、一緒に来た人に感謝の気持ちを素直に伝える。大切な人とここでのひと時を一緒に滞在して、普段なかなか口に出せない感謝の気持ちを伝える場であってほしいと願い、このホテルを造られたそうだ。夫婦や恋人同士で来るのも大歓迎ですが、まずはご両親を連れてきて、このゆったりした時間を是非一緒に過ごしていただきたい、とのこと。

 言われた通り、今回は連休ということもあり、両親のみならず、大家族で利用させていただいた私。こんな親孝行なら、する側としても大変満足である。『ありがとう』の気持ちは、両親のみならず、この蒸気泉を持つ北アルプスの大自然にも向けられることを、大いに実感したのであった。

【中尾温泉 四季のあじわい 中尾高原ホテル】
住所: 岐阜県高山市奥飛騨温泉郷中尾37
電話: 0578-89-0277
アクセス
 車の場合: 東海北陸自動車道 高山IC → R158約70分
 (マップ:http://www.nakaokougen-hotel.com/access.html
 公共交通機関: 名古屋駅より特急ワイドビューひだで2時間15分(高山下車) → 高山駅より濃飛バス(新穂高温泉行き)で約1時間、「穂高屋前」下車徒歩3分
温泉名: 中尾温泉(混合泉)
泉温(源泉): 84.5度 (PH値 6.71)、加水後44.1度
泉質名: 単純温泉(低張性中性高温泉)
色・味・匂: 無色透明、無味、微硫黄臭
効能: 神経痛、筋肉痛、関節痛、五十肩、運動麻痺、関節のこわばり、慢性消化器病、痔疾冷え性、病後回復期、疲労回復、健康増進
料金: ¥20,000~ (一泊二食付)
公式HP: http://www.nakaokougen-hotel.com/index.html

2011年05月24日

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取材担当プロフィール

みなもといずみ
近場から遠出まで、行く先々に温泉マークを見つければすぐに飛び込んでしまうほどの温泉女。出張先ですら、温泉があればタオルとパンツを持ってでかけます。女である以上、温泉に癒される人生は永遠です。行き当たりばったりの旅が大好きな私のあこがれは、スナフキン。点々と旅を続けながらいで湯を求め、足あとを残していきたい!

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