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コラム 熱湯コラム「いで湯のあしあと」

渓谷の秘湯 祖谷温泉

渓谷の秘湯 祖谷温泉

 ケーブルカー+温泉と聞いてすぐピンと来る人は、かなりの温泉通だろう。いや、もしかしたらそうでもないか。ケーブルカーに乗って温泉に入りにいくなんていう珍しい温泉は、日本でも数少ないであろうから。知っている人は知っている、話を聞いていつかは行ってみたいと思っていた徳島・祖谷温泉に、やっと行くことができたのだ。

 こんなに山奥でひっそりとしていて、本州からまともに行っても3-4時間は最低かかるであろう僻地である。それでも、42度の急傾斜をケーブルカーで降りて温泉に入るという、ある意味一種のアトラクション的な温泉に入りたい日本人はたくさんいるのだ。そういう温泉があると聞けば、誰もが一度は行ってみたいと必ず思うに違いない。

 大歩危祖谷温泉郷には、数件の魅力的な宿があり、そこが日帰り入浴もやっている。本当は宿泊したかったのだが、今回は別の予定の関係で、日帰りで我慢。ホテル祖谷温泉を目指し、国道からひとけのないぐねぐねした山道をひたすら1時間以上ドライブ。途中、山道沿いを流れる祖谷川の息を飲むほどの澄んだエメラルドグリーン色をした清流に目を奪われる。渓谷を見下ろす小便小僧の小便岩を通り過ぎたらやっとホテルに到着だ。フロントで清算し、早速ケーブルカーに乗り込む。

ケーブルカーに乗ってもかなりの角度だ。下を見ると谷底が見え、エメラルドグリーンの渓流が流れている。ほんの170mの距離を42度のスリリングな傾斜角度でゆっくり、絶景を見ながら降りていく。秋にはかなり美しい紅葉が拝めるに違いない。わいわいはしゃぐ乗客。やはりこれは一種のアトラクションだと感じる。

 5分ほどで露天風呂に到着。

 先ほどの美しい祖谷川の川面とほぼ同じ目線で、大きな露天風呂が広がる。いそいそと脱衣し、露天風呂に浸かる。少し肌寒い外気に合わせ、ぬるめの源泉に浸かった瞬間、そのとろみに驚いた。硫黄を含むアルカリ温泉で、美肌によいと効いてはいたが、すごくとろとろして、濃密な化粧水のようなお湯なのである。露天風呂の淵から美しい川面をながめ、ゆったりした気持ちで長時間ぬるめのお湯に浸かっていると、柔らかいお湯が身体全身を包み込む。渓流の心地よい音と、源泉がなみなみと注がれる音に癒されながら、何とも言えない贅沢な秘湯気分を味わった。

 帰りもケーブルカーに乗り込み、春の芽吹きを両脇の景色に感じながら、今度は谷底から地上階までゆっくりと上がっていく。短い立寄り入浴の時間だったが、期待以上の満足感で祖谷温泉を後にした。

 この山奥の秘湯に魅了されるのは今や、日本人だけでなく外国人もそうらしい。実際、入浴した際、台湾人らしき親子連れが先客で入っていた。帰り際、4、5人の白人がレンタカーでやってくるのとすれ違った。外国人旅行者も、今や日本の秘境で体験型観光を求めているのであろう。買い物でもなく、食べ物でもない。ここでしか味わえない大自然と秘境の醍醐味が、様々な人を魅了するのだ。

【ホテル祖谷温泉】
住所: 徳島県三好市池田町松尾松本367-28
電話: 0883-75-2311
アクセス: 徳島自動車道・井川池田IC~国道32号線高知方面、祖谷口より県道32号をかずら橋方面へ14km
泉質: アルカリ性単純硫黄温泉
温度: 39.3℃
色・味・匂: 無色透明・弱硫黄臭
効能: 神経痛、リューマチ、外傷、婦人病、美容、健康疲労回復
料金(日帰り): \1700(大人)、\900(小人)

2016年04月18日

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取材担当プロフィール

みなもといずみ
近場から遠出まで、行く先々に温泉マークを見つければすぐに飛び込んでしまうほどの温泉女。出張先ですら、温泉があればタオルとパンツを持ってでかけます。女である以上、温泉に癒される人生は永遠です。行き当たりばったりの旅が大好きな私のあこがれは、スナフキン。点々と旅を続けながらいで湯を求め、足あとを残していきたい!

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