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コラム 熱湯コラム「いで湯のあしあと」

熊野古道でマイ温泉を~川湯温泉

熊野古道でマイ温泉を~川湯温泉

 確かに和歌山は陸の孤島であろう。
だから、何かの機会があるとか、よっぽど気合いを入れていかなければ、なかなか行けないのが和歌山県だ。関西からも東海からも、どちらから行くにしても片道4~5時間は覚悟で行かなくてはならないのだ。

 しかし、陸の孤島でこそあれ、熊野古道という世界遺産がある。そして、開湯1300年の湯の峰温泉、三大美肌の湯である龍神温泉を初めとする、素晴らしい温泉が点在するのが和歌山県だ。

 そして今回、以前よりずーっと行きたいと思っていた川湯温泉に行く機会がめぐってきた。温泉通なら誰でも知っている、川が温泉になっているという仙人風呂で有名なところである。

 熊野古道の本宮から車で約10分。仙人風呂の目の前にある旅館 冨士屋に宿泊。残念ながら仙人風呂は冬期のみで、今回は川に入ることはできなかった。しかし、チェックインを済ませた後すぐにフロントにて、着替え(和水着)とスコップを渡された。川の露天は冬しか入れないけれど、川原を掘ればいつでも川辺の温泉に浸かることができる。

 早速川原に出て、マイ温泉を掘り始める。前に誰かが堀った跡があったため、その穴を拡大する作業に集中。掘ると川底から熱いお湯がこんこんと湧き出てくる。小石を脇によせ、大石を取り除いてバリケードを造り、20分ほど掘ったところで、深さ20cm、幅3mくらいの大きさの穴ができた。自分の掘った温泉に浸かれるなんて、温泉好きにはたまらない、究極のエンターテインメントだ。一生懸命掘っていたら、となりのペンションに宿泊していたと見える外国人が来て、すぐ隣で同じようにマイ温泉を必死で掘り始めた。こんな山奥の秘湯なのに、インバウンドの波はこんなところまで来ているのだ。

 川面と同じ目線で目の前の新緑を眺めながら、腰までもない深さのマイ温泉にしゃがむと、最高の気分である。15分ほどすると、じっとりと汗ばんできた。半身浴の要領である。30cmほどの高さのバリケードの向こうは、冷たい透き通った川の水。向こうへ行ったりこっち側に戻ったりすれば、大自然を臨みながらハイドロセラピーまでできてしまう。そよ風も心地よく、素晴らしい環境である。

 ただ若干残念なのが、川底を掘ったお湯は決して綺麗ではない。泥水の温泉のため、そのまま気持ちよく浴衣を羽織ることはできない。この場合は、泥のついた足のまま、旅館内の露天風呂への直行が許される。身体の汚れを落とすために、進化した館内の露天風呂へ浸かりに行った。

 旅館内の露天と内湯両方に浸かり、今度はその泉質を楽しんだ。内湯の方では、飲泉もできる。お湯はくせのないナトリウム泉で、珍しく飲みやすい。60度以上ある熱い源泉をコップにくんで口に含むと、少し甘みさえ感じた。

 夕食は地元の山の幸・川の幸をふんだんに取り入れた料理である。和歌山弁でゴンパチと呼ばれるふきのような山菜が秘湯ビールとよく合う。肉厚の川魚の刺身や天魚の塩焼きはとても新鮮。ミニ釜で炊いた白米はとても甘くて素晴らしい〆となった。

 翌朝再度浸かりにいった館内露天風呂で、朝日を浴びながら名残惜しい気分になった。
次回は必ず冬に来て、仙人風呂に入ると誓った帰路であった。

【川湯温泉 冨士屋】
住所: 和歌山県田辺市本宮町川湯1452
電話: 0735-42-0007
アクセス
 伊勢自動車道 → 紀勢大内山IC → R42 → 新宮市 → R168(インター下車より約3時間)
泉温(源泉): 64.8度(PH値:6.4)
泉質名: ナトリウム-炭酸水素塩・塩化物泉
色・味・匂: 無色透明・無臭・微弱甘味
効能: 神経痛、筋肉痛、関節痛、五十肩、運動麻痺、関節のこわばり、うちみ、くじき、慢性消化器病、痔疾、冷え性、病後回復期、疲労回復、健康増進、慢性皮膚病、婦人病
料金: 14,000円~(一泊二食/2名一室)

2015年05月07日

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取材担当プロフィール

みなもといずみ
近場から遠出まで、行く先々に温泉マークを見つければすぐに飛び込んでしまうほどの温泉女。出張先ですら、温泉があればタオルとパンツを持ってでかけます。女である以上、温泉に癒される人生は永遠です。行き当たりばったりの旅が大好きな私のあこがれは、スナフキン。点々と旅を続けながらいで湯を求め、足あとを残していきたい!

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