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コラム 熱湯コラム「いで湯のあしあと」

京都・八瀬離宮

京都・八瀬離宮

 残暑が残る京都市街から約3、40分、大原方面へ走ると、先ほどの喧騒が嘘みたいにひんやりした空気に包まれ、鬱蒼と木々が茂る山の中に入っていく。京都・比叡山のふもとに佇む会員制リゾートホテル、XIV(エクシブ)京都は、2006年の開業以来、とりわけ予約がなかなか取れないと有名である。義弟のお兄さんのお嫁さんのお父さんの会社の人の・・・ナントカさんが宿泊するはずだったのがキャンセルになり、いろんなところをめぐり巡って、そんなゴールデンチケットが我々の懐に入ってきたのだった。

 ここ最近は、「The 温泉」的な温泉宿ばかりだったので、こういったセレブリティ感覚のあふれるリゾートホテルは久々である。エントランスでかちっとしたボーイさんに出迎えられて、お行儀のよいお辞儀をされるとちょっと緊張してしまったりする。

 シンプルモダンなインテリアの部屋に入り、しばしくつろいだ後、まだ日が明るいうちに早速温泉「The Spa(ザ・スパ)」へ。リゾートホテルらしく、内湯、露天風呂のほか、サウナ、バイブラバス、天然石熱気浴など、一連の充実した付帯設備が完備されている。広くて整然とされた脱衣所に入ると、高級感あふれるスパ独特のソープの香りに包まれ、それだけでリラックスしている自分に気づく。

 いつものような温泉宿との違いをしみじみとかみしめながら、いそいそと脱衣し、内湯へ入ると、シックな御影石でできた浴室フロアの内湯の先には、斬新で直線的なデザインの露天風呂が輝いている。きらきらと光る湯面にひきつけられるように、露天風呂へ突進した。

 シンプルであると同時にインパクトのあるデザイナーズ露天風呂には、天然温泉がこんこんと湧き出している。湯質も至ってシンプル。さらりとした単純温泉で、まったく出しゃばっていない。お湯につかりながら、たまに吹くそよ風や山間部特有の森林の香り、静寂さを全身に浴びると、身体中の神経の糸がゆるゆるとほどかれていくようである。テラスに差す木漏れ日が気持ちいい。

 さっぱりした後は、夕食へ。
 京都市内ではちょっぴりコ洒落たセレブ界隈、北山通りへ車を走らせた。
 こぢんまりとしたフレンチやイタリアンレストランにまじって、「乃し(のし)」はひっそりと佇んでいる。小奇麗な個室に通され、京懐石のフルコースをいただいた。一皿ずつ出される品々は、どれも丁寧で上品な味である。湯上り後のビールと久々の冷酒で、心地よくアルコールが血中を駆け巡る。

 翌朝も、空が綺麗に晴れ上がっていた。
 ゴージャスなリゾートホテルをチェックアウトし、比叡山に登るため、八瀬駅からレトロなケーブルカーに乗った。ケーブルカーを乗り継ぎ、途中にあるイングリッシュ・ガーデンで、美しい花々やその遠くに広がる京都市街、琵琶湖を見下ろす。

 数少ない京都の温泉地。
 意外にも純和風の温泉宿はあまりないけど、こういった温泉リゾートの過ごし方もなかなか悪くない。寺社仏閣巡りもいいけど、たまには山間部のリゾートホテルで、ゴージャスに温泉浴を満喫するのは、この上ないゼイタクである。

【エクシブ京都 八瀬離宮】
住所: 京都市左京区八瀬野瀬町74-1
電話: 075-707-2888
アクセス
 車の場合: 名神高速 京都東ICより約30分
 (マップ: http://reserve.resort.co.jp/hotels/xiv/kyouto/access/index.html
 公共交通機関: 京都駅から国際会館駅まで約20分(地下鉄烏丸線) → 国際会館駅からタクシーまたはシャトルバスで約10分
温泉名: エクシブ京都八瀬離宮温泉
泉温(源泉): 26.2度
泉質名: 低張性・弱アルカリ性・低温泉(単純温泉)
色・味・匂: 無色透明、無味無臭
効能: 神経痛、筋肉痛、関節痛、五十肩、運動麻痺、筋肉の強張り、うちみ、くじき、慢性消化器病、痔疾、冷え性、病後回復期、疲労回復、健康増進
料金: ¥18,000~ (一泊二食付)
公式HP: http://reserve.resort.co.jp/hotels/xiv/kyouto/index.html

2010年10月07日

コラムフォト

取材担当プロフィール

みなもといずみ
近場から遠出まで、行く先々に温泉マークを見つければすぐに飛び込んでしまうほどの温泉女。出張先ですら、温泉があればタオルとパンツを持ってでかけます。女である以上、温泉に癒される人生は永遠です。行き当たりばったりの旅が大好きな私のあこがれは、スナフキン。点々と旅を続けながらいで湯を求め、足あとを残していきたい!