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コラム 熱湯コラム「いで湯のあしあと」

三重・わたかの温泉

三重・わたかの温泉

 このエリアにもう30年以上も住んでいるというのに、全く存在を知らなかった。この島を知っている人は、どれほどいるだろうか。

 伊勢、鳥羽市を通り抜け、的矢湾方面へ向かうと、船着場に着く。目の前にぽっかりと島が浮かんでいるのは、知る人ぞ知る、わたかの島。

 わたかの島は『渡鹿野島』と書く。江戸時代、舟人たちの「風待ちの島」として栄えた。
 島へは、本土のひなびた船着場から出ている渡し舟で渡る。渡し舟といっても、ちゃんとモーターの付いている小型フェリーである。的矢カキの養殖場を眺めつつ、約3分で島に到着。この近距離、なぜ橋を渡さないのだろう?と、ふと疑問に思うが、フェリーは旅の気分をある意味盛り上げてくれるし、まぁよしとする。曇り空の下、頬をなでる湿った風が、なかなか心地よい。

 島に降り立つと、時代錯誤を感じる空気が漂う。ここだけ、昭和中期から時が止まってしまったようだ・・・一体ここはどこ?

 その中に、ひときわ目立って海岸沿いにそびえ立つ巨大な旅館。これが、福寿荘である。
 この島にたったひとつしかない温泉宿。従って、わたかの温泉の源泉は、唯一この旅館のみが所有しているのだ。

 地下1300mの海洋深層水から湧き出す源泉。汲み上げポイントは海に突き出してるため、塩化ナトリウムの成分がかなり濃い。ナルホド、舐めると結構しょっぱい。海水のミネラルをふんだんに含んでいるため、温泉成分が通常の26~27倍もあるという。その濃厚成分ゆえ飲料にも適しており、飲めば腎臓を始め全ての内蔵機能向上に役立つらしい。毎日飲み続ければ、この濃厚ミネラルが体内にダイレクトに吸収され、毒素排出を促すという、デトックス温泉なのである。

 でもこの超しょっぱい温泉を飲むと、内蔵機能が向上する前に、塩分取りすぎで別の病気になっちゃうのでは・・・と思ったので、とりあえず飲むのは遠慮して、とにかく入ることにする。

 福寿荘は4年前に、ここの看板でもある大規模な庭園露天風呂を造った。

 伊勢志摩ではNo.1のスケールを誇るとあって、なるほど立派な純和風庭園が施された露天風呂である。足湯もサウナもジャグジーも打たせ湯も、すべて一式揃っており、飽きることがない。ぽこぽこと噴出す源泉の中で思いっきり泳ぐ。全く贅沢である。

 そして、もっとゼイタクなのは食事。伊勢志摩だけに、期待を裏切らない。
 鯛やマグロの新鮮な刺盛り(というより桶盛り!)はもちろん、あの伊勢エビ様まででてきた。その他、旬の魚介類の蒸し物、鍋物、天ぷら・・・。挙句の果てに、板前さんによる手こね寿司パフォーマンスまで。生モノが全く苦手な大バカ野郎の私。それでも、十分に満足できる充実した内容である。飲んで食べてカラオケで熱唱して、わたかのの夜は更けていった・・・。

 翌朝、海を一望できるという6階の展望大浴場(内湯)と、再び庭園風呂をはしごした。海水のミネラルをたっぷり含み、十分にデトックスされた体を、朝の海風が心地よくなでていく。

 チェックアウトをし、再び船に乗り込む。お世話になった仲居さんが、船着場まで見送りをしてくれた。
 周囲7kmのこの小さな島には、正直何もない。何もないのに、また来たいと思わせる何かをこの福寿荘は、いや、わたかの島は持っているのだった・・・。

【風待ちの湯 福寿荘】
住所: 三重県志摩市磯部町渡鹿野517
電話: 0599-57-2910
アクセス
 車の場合: 伊勢自動車道 伊勢西ICより県道32号線経由で60分+船3分(有料)(アクセスマップ:http://www.fukujyuso.co.jp/access.html
温泉名: わたかの温泉 福寿の湯
泉温(源泉): 31.7℃(PH値8.2)
泉質名: ナトリウム・カルシウム塩化物温泉
色・味・匂: 無色無臭・塩味
効能: きりきず、やけど、慢性皮膚病、虚弱児童、慢性婦人病、神経痛、筋肉痛、関節痛、五十肩、運動麻痺、関節のこわばり、うちみ、くじき、慢性消化器病、痔疾、冷え性、病後回復期、疲労回復、健康増進
料金: ¥10,000 ~ ¥21,000(一泊二食付)
公式HP: http://www.fukujyuso.co.jp/

2010年06月30日

コラムフォト

取材担当プロフィール

みなもといずみ
近場から遠出まで、行く先々に温泉マークを見つければすぐに飛び込んでしまうほどの温泉女。出張先ですら、温泉があればタオルとパンツを持ってでかけます。女である以上、温泉に癒される人生は永遠です。行き当たりばったりの旅が大好きな私のあこがれは、スナフキン。点々と旅を続けながらいで湯を求め、足あとを残していきたい!

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