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コラム 熱湯コラム「いで湯のあしあと」

西伊豆最大の湯処 土肥温泉

西伊豆最大の湯処 土肥温泉

 久々に伊豆半島に行きたくなった。確か2年前に日帰りで半島を一周、はしご湯をしたきりだ。海を目の前に海抜0メートルの露天風呂に浸かったっけ。最近山のパワーばかりをもらっていたので、今回は癒しを求め海へ向かった。

 2年前は東と南の方をはしごしたので、目的地は西伊豆に設定。それにしても静岡県は横に長い。昼過ぎに出て沼津駅から約90分、なんとか暗くなる前に宿に到着した。土肥金山開発中の17世紀初期に湧出したという、西伊豆最古の土肥温泉に宿泊した。

 土肥温泉は、美しい西伊豆の海岸沿いに30軒ほどの民宿・旅館が立ち並ぶ素朴な温泉街である。晴れた日の夕日はとても美しく、夜になると若干時代錯誤を感じる居酒屋やカラオケスナックが静かに佇む。6つの源泉を持ち、それらを混合して各施設に配湯されている。効能豊かなお湯が万病に効くという。近隣の観光名所に「恋人岬」があるように、そのお湯は、恋の悩みにも効く(?)らしい・・・(By 土肥温泉旅館共同組合)。

 今回宿泊した牧水荘土肥館は、西伊豆最大の野天風呂と湯量を誇る明治時代からの老舗旅館。旅の歌人・若山牧水が常宿として利用していた由緒ある宿なのである。露天風呂は野天・洞窟と二種類あり、「全国露天風呂特選の宿」にも認定されているらしい。西伊豆最大級という野天風呂は、スーパー銭湯並みに広く、ぬるめの湯(38℃)・ほどよい湯(41℃)・あつめの湯(44℃)の3種類に分かれている。60℃の源泉に加水して、お好みの温度で浸かれるのが嬉しい。泉質はちょっぴりしょっぱい塩化物泉と硫黄塩泉で、塩パック効果もあり美肌・発汗作用もあるようだ。

 広い露天風呂に入ると、大きな樹木がひときわ目立つ。樹齢100年のゴムの木がどっしりと鎮座し、わさわさと豊かに緑葉が生い茂って湯面に反射している。よく見ると、「この老木は強烈な精力を保持し、高質なイオンを放出します」と書いてある。どうやら、天然温泉とゴムの木が放つマイナスイオンが一緒になって、ヒーリングの相乗効果を発揮するらしい・・・。これまでいろんな温泉に浸かってきたが、こんなゴムの木を目にしたのは初めてである。

 お風呂から上がって、個室の食事処「蔵」で、海の幸を堪能した。舟盛りや手長海老等、駿河湾で水揚げされた新鮮な魚介を中心にした和会席。素材の味を最大限に引き出す彩りのよい料理を目の前にすると、つくづく伊豆とは贅沢なところだと思わずにはいられない。

 食後に部屋からベランダに出ると、心地よい海風がふわっと身体を包み込む。天然温泉とゴムの木と海風。マイナスイオンで充満されている自分を認識する。まさに「海は癒しを与える」のだ。

 翌朝、びっくりするほどの快晴だった。西伊豆では有名な観光名所、恋人岬にも立ち寄り、先端にある「ラブコールベル」をベタに3回鳴らしてみる。沼津までの帰り道は、海岸の国道沿いを北上して行った。期待していた通り、前方に富士山がくっきりと見えてはっとする。少しモヤがかってはいるが、青い海と空を背景に、美しく凛々しい全貌を望むことができ、最高にラッキーなひと時に陶酔したのだった。

 恋の悩みに効いたかどうかは知らないが(最近そんな悩みなんてものもないんだけど)、土肥温泉のマイナスイオンパワーは、ここ数ヶ月の疲労困憊した私の心身を共に癒してくれた。すっかり元気になった私は、沼津駅からの電車に揺られつつ、富士山の雄々しい姿を目の裏に焼き付けたまま、爆睡しながら岐路についた。

【土肥温泉 牧水荘土肥館】
住所: 静岡県伊豆市土肥289-2
電話: 0558-98-1050
アクセス
 車の場合: 名古屋 → 東名高速(沼津IC下車) → R136(修善寺方面へ約90分)
 公共交通機関: 名古屋駅(新幹線 1時間35分) → 三島駅(伊豆箱根鉄道 35分) → 修善寺(バス 50分) → 土肥温泉
泉温(源泉): 60度
泉質名: カルシウム・ナトリウム一硫酸塩、塩化物温泉
色・味・匂: 無色透明、無臭、弱塩味
効能(入浴): 神経痛、筋肉痛、関節痛、五十肩、運動麻痺、関節のこわばり、うちみ、くじき、慢性消化器病、痔疾、冷え性、慢性皮膚病、虚弱自動、病後復期、疲労回復、健康増進、動脈硬化症
料金: ¥11,760~(一泊二食、大人2名利用一人当り)

2012年07月04日

コラムフォト

取材担当プロフィール

みなもといずみ
近場から遠出まで、行く先々に温泉マークを見つければすぐに飛び込んでしまうほどの温泉女。出張先ですら、温泉があればタオルとパンツを持ってでかけます。女である以上、温泉に癒される人生は永遠です。行き当たりばったりの旅が大好きな私のあこがれは、スナフキン。点々と旅を続けながらいで湯を求め、足あとを残していきたい!

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