名古屋からほんの2時間。
キャンプやらBBQやらツーリングやらスキーやらで、奥美濃方面へ何度も足を運んで看板を目にするたびに、ずーーーっと気になっている秘湯宿があった。美濃ICを降り、鮎で有名な洞戸・板取方面の山道をぐるぐる行くと、100mピッチくらいの勢いで『すぎ嶋』の看板が目に付く。そこへ今回、やっと行ける機会が巡ってきた。
板取より奥にひっそりと佇む秘湯宿『すぎ嶋』。
ジャズが流れる広いロビーに入ると、むき出しのりっぱな梁が重なる高い天井と、どっしりとしたソファ、重厚なテーブルが出迎えてくれる。隣の囲炉裏には、ぱちぱちと炭が燃え、鉄製のやかんから湯気が立ち上る。歴史を感じる分厚い板で覆われた床は、ぴっかぴかに磨き上げられている。150年前の庄屋を移築した建物で、もともと民宿から始め、増築を繰り返していったそうな。岐阜県の豊富な温泉地には、囲炉裏のある情緒深い宿がたくさんあるが、ここすぎ嶋の雰囲気は、中でもピカイチだ。
この神明温泉は、今から15年ほど前、「神のお告げ」を頂戴し掘り当てられたという。深さ1000mの地点から湧き出るアル単の源泉。地名が「神明」だったためその名がつけられた。内湯や露天に使われている檜は、板取最北端に自生していた樹齢400年の古木を使っているらしい。それだからなのか、それともここの土地自体がそうなのかわからないけど、シックス・センス(第6感)が全くゼロの私ですら、すごく良い「気」を感じるから不思議である。ここはただの、肌がつるつるになるアル単温泉ではない。それ以上の効果が期待できるかもしれない・・・・・・例えば、最近目立ってきたホウレイ線が全部なくなるとか、一昨日机の角でぶつけてできた左ひざの青あざが消えるとか、太もものセルライトが消えるとか。
温泉は、貸切露天風呂が2箇所と、内湯・露天のある大浴場が男女1箇所ずつ。
屋根付の細い通路をつたって、先日降ったらしい残り雪を見ながら山間の竹林を抜けると、高台に設置された広めの貸切露天風呂がある。気温1℃の中を白い息を吐きながら歩き、寒さで縮こまった身体をぬるりとしたお湯に滑らせると、「あ゛~・・・っ」というおっさんみたいなため息が自然と出る。いいねぇ、こういうのほんとにいいねぇ。素の自分が自然に出てくるってのは、最もリラックスしている瞬間なのである。
ぬるめのお湯にずっとつかって、湧き出る温泉のちょろちょろした音だけに耳をすます。目を閉じると、普段は全く鈍感な5感、いや6感が研ぎ澄まされていく。
夕食は、囲炉裏のある個室へ通された。
火が灯されている囲炉裏には、すでにアマゴの塩焼きが出来上がって香ばしい匂いが漂っている。マスのお造り、天下の飛騨牛さま炭火焼、二度揚げした岩魚のから揚げ、コシの利いた手打ち蕎麦、出汁のよく出たしし鍋・・・次々に出される食事は、超美味である。岐阜の食材をふんだんに用いて、丁寧に作られたのがよくわかる。岐阜県バンザイ。こりゃ明日の朝食も期待大だわ・・・満腹なのに次の食事を想像してにんまりする食いしん坊な私、なんとかしてくれ。
翌朝、6時半に起きて大浴場で朝風呂を満喫した後に食べた朝食は、やはり期待を裏切らなかった。甘めのほう葉味噌で、炊きたてご飯がススムくんである。再び岐阜県バンザイ。
朝食後、ロビーのソファに座ってまったりしながら、チェックアウトの時間を待った。初めてくるのに、懐かしい感覚。帰り際、女将が出てきて、正座をして床に手を突き、「お気をつけてお帰りください」と、すごくすご~く丁寧な見送りをして下さった。
神秘的な雰囲気を醸し出す神明温泉。ここで一泊して、間違いなく私のシックス・センスは敏感になり、肌は剥きたてのゆで卵のようになったはずだ。残念ながら、左ひざの青あざや、太もものセルライトは消えなかったけど、私の中の「東海地区温泉ランキング」の格付けは、更にアップデートされたのであった。
【神明温泉 すぎ嶋(日本秘湯を守る会会員宿)】
住所: 岐阜県関市板取4838番地
電話: 0581-57-2532
アクセス
車の場合: 東海北陸自動車道 美濃IC → R156 → 新美濃橋を渡り、洞戸・板取方面へ約1時間
(マップ:http://www.sugishima.com/access.html)
公共交通機関: JR岐阜駅よりバスで2時間(冬季1~3月は岐阜駅より無料送迎)
温泉名: 神明温泉
泉温(源泉): 34.3度 (PH値 8.9)
泉質名: アルカリ性単純温泉
色・味・匂: 無色透明、無味無臭
効能: 神経痛、筋肉痛、関節痛、五十肩、運動麻痺、筋肉の強張り、うちみ、くじき、慢性消化器病、痔疾、冷え性、病後回復期、疲労回復、健康増進
料金: ¥18,000~¥25,000(一泊二食付)、日帰り入浴あり(大人¥800、小人¥500)
公式HP: http://www.sugishima.com/index.html
2011年01月04日