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コラム 熱湯コラム「いで湯のあしあと」

信州駒ヶ根・早太郎温泉

信州駒ヶ根・早太郎温泉

 冬の寒さが幾分緩み、寒暖の差が激しくなってきたある晩、夢をみた。
よく晴れたある日、どこかの山奥で、私は温泉にゆったりと浸かりながら、遠くに見える雪景色の山脈を眺めていた。

 翌朝、目が覚めると超快晴である。
妙に鮮明にさっきの景色が頭から離れない。これはもう行くっきゃない。雪景色の山脈が遠方に眺められて、ゆったりと温泉に浸かれて、日帰りで行ける場所・・・。起きっぱなしのまま、PCで検索を始める。

 それから2時間後、私は中央道に乗っていた。

 思った通り長野県に入ると、雪をかぶったアルプス連峰がくっきりと浮かび上がっている。空には雲ひとつない。左右に迫る中央アルプスと南アルプスを仰ぎながら、わずか2時間で駒ヶ根ICを降りた。そこから5分ほど車を走らせると、駒ヶ根高原の林間に入っていく。

 せっかく信州に来たし、お腹もすいたので、まずは蕎麦。
観光案内所で、近郊の美味しい蕎麦屋を数件、候補で出してもらう。その中からセレクトしたのは、「元祖光前寺そば やまだや保翁(やすおう)」。なんだかよくわからないけど美味しそうだ。小奇麗なたたずまいをした店内に入っていく。光前寺そばをオーダーすると、白くて細い蕎麦の横に、茶蕎麦がちょこっと添えてある。抹茶色が光前寺カラーだそうな。信州特産品の凍豆腐も添えてある。コシのある上品なソバだった。

 蕎麦屋を出ると、すぐ隣に光前寺がある。これから行く早太郎温泉の伝説ともなった霊犬・早太郎が奉られているらしい。正直犬に興味はないが(犬は苦手なんです・・・)、寺が放つ、しんとして荘厳な空気に惹きつけられるように中に入って行き、参拝をした。

 冷たい蕎麦を食べ、ひんやりとした空気にあたっていると身体が十分冷えてきた。そりゃそうだ、快晴とはいえ、降り積もった雪がまだ解けずに残っている。屋根からぶらさがるつららも大そう立派である。夢にまで見た景色と感覚を味わうべく、早速、南アルプスを拝める早太郎温泉「こぶしの湯」へ向かった。

 まだできて間もないのか、きれいな温浴施設である。こういうところで共通しているのか、お土産コーナーや飲食コーナー、休憩場までありとても広い。近所の人々が集うスーパー銭湯的な感覚なのであろう。ジャージのまま桶とタオルを持っているおじさんとか、パジャマのまま走り回るコドモとかがいたりする。

 中に入ると、内湯がひとつ、露天がふたつ。露天の一角に小さいサウナまであった。
そして、どの位置からも、遠くに雪をかぶった南アルプス連峰がくっきりと見えた。露天に入り肩までつかると、前方に夢で見た景色が広がっており、「これがデジャブってやつか!」と改めて感激してしまった。

 源泉は30度弱だから、露天は少し加温してあるのであろう、冷たい外気で冷えないように熱めのお湯が、惜しみなくバシャバシャと流出している。湯質は、大好きなアルカリ性単純泉(最近こればっかりですね)。お決まりだけど、PH値も高くコクのある美人の湯である。冷たく澄んだ空気を胸いっぱいにすって、深呼吸した。目を開けると、やっぱり前方に美しく壮観な南アルプス連峰が広がる。

 長湯をしてすっかりくたくたになった後、休憩所でトマトジュースを一気飲みしたら眠くなってきたので、そのまま30分くらい寝てしまった。我ながら自由である。

 そして、そのうたた寝で見た夢は・・・・・・。
次号で語るかもしれませぬ。

【早太郎温泉 こぶしの湯】
住所: 長野県駒ヶ根市赤穂23-170
電話: 0265-83-7228
アクセス
 車の場合: 中央自動車道-駒ヶ根IC-IC出口信号機右折、西へ直進2.5km(約3分)
 公共交通機関: JR飯田線 駒ヶ根駅よりタクシー(約10分)
温泉地名: 早太郎(はやたろう)温泉
泉温(源泉): 28.1℃(PH値 7.5)
泉質名: アルカリ性単純泉
色・味・匂: 無色透明・無味無臭
効能: 神経痛・筋肉痛・関節痛・五十肩・運動麻痺・皮膚炎・冷え性・打ち身・くじき・疲労回復・関節のこわばり・病気回復期・痔病・慢性消化器病
料金: ¥600(大人)、¥300(小人)
公式HP: http://www.chuo-alps.com/kobushi/index.html
早太郎伝説: http://www.kozenji.or.jp/mainframe.html(おまけ)

2010年04月01日

コラムフォト

取材担当プロフィール

みなもといずみ
近場から遠出まで、行く先々に温泉マークを見つければすぐに飛び込んでしまうほどの温泉女。出張先ですら、温泉があればタオルとパンツを持ってでかけます。女である以上、温泉に癒される人生は永遠です。行き当たりばったりの旅が大好きな私のあこがれは、スナフキン。点々と旅を続けながらいで湯を求め、足あとを残していきたい!