さて、ここは何が有名かっていうと、宿のすぐ脇を流れる中津川の川原をスコップで掘って、自分で湯船を作る野天風呂。とにかく感動もんである。自分で掘った風呂につかり、大自然の景観を360度たっぷりと満喫できるのだ。
先約でおじいちゃんが二人入っていたため、残念ながら入るのはあきらめて、宿のお風呂へ行く。宿には男女別の内湯が1つずつと、混浴露天風呂がひとつ。川原の野天風呂と同じ、源泉かけ流しである。ぬるめの源泉がじわじわと身体をほぐす。向かいにそびえ立つ山と、沈みかけの夕日を目の前に、誰もいない露天風呂を独り占めした。
そして夕食をとるため、静まりかえった食堂へと向かう。
板前さんが一人で作り、一人で運んでくれる食事は、出される一品一品が実に美味。様々な種類の山菜ときのこ、川魚が中心だが、こんな肉厚なきのこや山菜は食べたことがない!そういえば、野天風呂に行く際に、やけにバカでかい山菜(20~30cm程)が、たくさん目についたっけ。地味な素材でありながら、最高の素質。出される品々に感動しながら、全てを平らげる。正直こういった秘湯の宿でおいしい食事はあまり期待できない・・・という私の偏見を、この宿は見事に覆してくれた。
この板前さんは住み込みで働く。自宅は10数キロ離れた新潟県にあり、1週間に1度くらいの割合で帰るという。「いいところですね」と言うと、「ずっといると寂しいものです」と、ぽつり。
そりゃそうだ。確かに、行くと住むとは、大きな違いである。だからこそ秘湯なのである。この人里はなれた雰囲気があるからこそ、訪れる旅人は、命の洗濯ができるのだ。
住む人は大変だろうけど、ずっとここを守っていってほしい・・・帰りがけに手をふる料理長を背に、「がんばれよー!!」とつぶやいた。
【切明温泉 雪あかり】
住所: 長野県下水内郡栄村大字堺17879-1
電話: 025-767-2255
車の場合: 名神高速道路―「小牧JCT」―中央自動車道「岡谷JCT」―長野自動車道「更埴JCT」―上信越自動車道「豊田・飯山IC」―R117 約70分(55km)―交差点「津南町」右折―R405 おく切明方面へひたすら進む
温泉地名: 秋山郷 切明温泉
泉温(源泉): 54.6℃
泉質名: カルシウム・ナトリウム・塩化物・硫化塩温泉
効能: 神経痛、筋肉痛、関節痛、五十肩、運動麻痺、関節のこわばり、 うちみ、くじき、慢性消化器病、痔疾、冷え症、病後回復期、疲労回復、健康増進、きりきず、やけど、慢性皮膚病、虚弱児童、慢性婦人病、動脈硬化症
料金: ¥8,000~¥15,000(休前日同料金:一泊二食付)
2009年07月23日
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