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コラム 熱湯コラム「いで湯のあしあと」

静岡・伊豆半島ではしご湯を

静岡・伊豆半島ではしご湯を

 目の前は見渡す限り大きな海。水平線が見える。
 すぐそばの波打ち際に打ち寄せる波。
 『海抜0メートル、波打ち際の温泉』。宣伝文句の通り、期待を裏切らないシチュエーションで、海を抱きながら熱めの温泉につかる。
 海が見える温泉も愛知県内にはたくさんあるけど、できるだけ海水が手に届くほど近いところ・・・・・・そう、伊豆まで足を延ばせば、絶対にそんな『理想の湯』があるのだ。

 てなわけで、早朝から東名高速に乗る。
 沼津ICで降り、伊豆スカイラインで気持ちよいドライブをしながら、天城高原を越える。伊豆半島を斜めに横切る形で、東伊豆の海岸沿い道路に出るのだ。この海岸沿いの道路R135は、伊豆半島をぐるっと囲む形で、立ち寄り湯が何箇所も点在する。ちょっと走っては温泉名の看板を定ピッチで目にすることができる、海沿いの温泉天国だ。

 『天城越え』をする時に、合掌造りのベタな峠の茶屋に寄り、ランチをする。とろろ飯と、とろろ蕎麦。伊豆まで来てまさか山の幸を食べるとは思わなかったが、これがなかなかどうして、ボリューミーで美味しい。地元のおばあちゃんたちがサーブしてくれる雰囲気も嬉しい。お腹も心も満たされて、やっとのことで温泉天国ロード(R135)に出た。

 まず今回目指すのは、北川(ほっかわ)温泉『黒根岩風呂』。
 昭和初期、素潜り名人が掘り当て、北川町人に開放されていた混浴露天風呂。ネットで写真を見ると、まさに求めているような、海に限りなく近い場所にある。受付のおじさんが、「バスタオルをレンタルして、巻いて入ってもよい」と無料で貸してくれた。客引きのために、女子には積極的に貸してくれるのかもしれない。

 入っていくと、脱衣所もフルオープンである。既に男性ばかり先客が3,4名。一瞬ひるむが、その奥に女性専用の小さい小屋と専用風呂もあるのでご安心を。混浴も、タオルを身体に巻きつけて堂々と入っていけば、意外に不自然ではない。みんな(なんとなく)視線は目前の広い海に向け、暗黙のマナーを守り、ゆったりと無言で浸かっている。透明でさらりとしたお湯に身体を沈め、海を眺めると、じんわりと熱が体内に浸透してくるようで、ほっとため息がこぼれる。

 海の近くなのに全く塩味はない。加水してあるんだろうけど、源泉は90度以上とかなり熱いので、長く浸かれない。火照った身体を海風で冷まし、冷えたらまた入ると、出たり入ったりを繰り返した。

 だんだんと日も落ちてきたので、次の温泉をはしごする。
 目指すは、熱川温泉『高磯の湯』。黒根岩風呂より5分、1994年にオープンした公営露天風呂だ。
 ここは、混浴ではなく、ちゃんと男女別になっている。北川温泉より高い位置に設置されているため、すぐ傍の波打ち際は見えないが、打ち寄せる波がたまに大きいと、波しぶきが「ざっぱーん!」と、温泉の中にまで入ってきてなかなかスリルがある。だからかどうかわからないが、こっちのお湯はちょっとしょっぱい気がした。

 前日の雨上がりで残っていた雲もだんだんと切れて、美しい夕日が落ちていくのを遠くに眺めながら、波の音を聞いて湯に浸かる。言うまでもなく、こんな贅沢はそうそうない。

 2箇所をはしごしたら、あっという間に日が暮れてしまった。伊豆の最南端にまで来てしまったので、結局そのまま半島をぐるっと回って北上し、帰路に着くことにする。

 途中、下田で海鮮料理屋「ゑび満」に入った。伊豆下田の近海で採れた新鮮な魚介を惜しみなく提供するザ・漁師メシ屋だ。「地金目鯛漁師煮膳」は、でかい目をした金目鯛の大きなカマをぱかーんと割って、ほどよい甘辛しょうゆ味で味つけした煮つけと、雑穀ごはん(丼)と味噌汁の定食。煮付けを平らげたら、煮汁を丼ごはんにかけてシメる。

 真っ暗な山道を沼津ICへ北上する。夜空は満点の星空だった。

 早朝8:00に出発し24:00に帰宅した、伊豆半島一周強行日帰りツアー。
 大海原が目前に迫る絶景露天風呂をはしごし、海の幸と山の幸を味わい尽くす。使いようによって、一日は長く、充実したものになるのだということを、伊豆半島は教えてくれたのだった・・・。

【北川温泉 黒根岩風呂】
住所: 静岡県賀茂郡東伊豆町北川
アクセス
 車の場合: 東名高速 沼津IC → 伊豆スカイライン → 天城IC(終点) → R135を海沿いにひたすらまっすぐ
温泉名: 混合泉(北川11号・12号)
泉温(源泉): 92.2度
泉質名: ナトリウム―カルシウム・塩化物温泉
色・味・匂: 無色透明、無味無臭
効能: 神経痛、筋肉痛、関節痛、五十肩、運動麻痺、筋肉の強張り、うちみ、くじき、慢性消化器病、痔疾、冷え性、病後回復期、疲労回復、健康増進、きりきず,やけど、慢性皮膚病、慢性婦人病、動脈硬化症
営業時間: 6:30~9:30、16:00~23:00 (金・土・日は13:00~23:00)
料金: ¥600

【熱川温泉 高磯の湯】
住所: 静岡県賀茂郡東伊豆町熱川
アクセス
 車の場合: 東名高速 沼津IC → 伊豆スカイライン → 天城IC(終点) → R135を海沿いにひたすらまっすぐ(北川温泉よりすぐ)
温泉名: 奈良本13号
泉温(源泉): 99.9度(PH値 8.3)
泉質名: ナトリウム-塩化物・硫酸塩温泉(弱アルカリ性低張性高温泉)
色・味・匂: 無色透明、ちょっぴり塩味
効能: 北川温泉と同じ
営業時間: 9:30~17:00
料金: ¥600

2010年10月31日

コラムフォト

取材担当プロフィール

みなもといずみ
近場から遠出まで、行く先々に温泉マークを見つければすぐに飛び込んでしまうほどの温泉女。出張先ですら、温泉があればタオルとパンツを持ってでかけます。女である以上、温泉に癒される人生は永遠です。行き当たりばったりの旅が大好きな私のあこがれは、スナフキン。点々と旅を続けながらいで湯を求め、足あとを残していきたい!

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