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旅の達人 尾陽木偶師(びようでぐし) 九代 玉屋庄兵衛さん からくりとものづくり尾張名古屋の匠の技

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[犬山市]
尾陽木偶師(びようでぐし)
九代 玉屋庄兵衛さん

お知らせ

お問い合わせ/犬山祭保存会
TEL/0568-62-4802

「茶運び人形」の実物や犬山祭のからくりに関する資料も見ることができるからくり展示館。

「茶運び人形」の実物や犬山祭のからくりに関する資料も見ることができるからくり展示館。[入館料]犬山市文化史料館 共通/100円

 欧米諸国から機械技術が伝わった江戸時代、日本には海外にも類を見ない木製の精密機械技術が完成していました。ものづくりの原点ともいえる“からくり”の技を継ぐ木偶師・九代玉屋庄兵衛さんにお話を伺いました。

江戸時代に花開いた大衆娯楽としてのからくり

三光稲荷神社と犬山城

三光稲荷神社と犬山城

 平安時代にはその名を文献に見ることのできるからくり人形ですが、江戸時代に大阪で旗揚げした竹田近江の人形一座によって一般的な娯楽として世に伝わりました。中期になると最盛を誇った尾張東照宮祭を期に、全国から名古屋に職人が集まるようになり、初代も移り住んだ玉屋町(現在の中区錦)から、玉屋庄兵衛となりました。同じく神事として奉納されていた山車(だし)とからくりが合わさり、人気となったのもこの頃からですね。全国に曳山は数千あると言われていますが東海地方をはじめ北陸・信州に多いことが特徴です。技術は競い合われ、高い進歩を遂げました。それが中部の「ものづくり」の礎ともなっているのでしょう。

犬山祭とからくり人形館古き良き伝統の技を伝える

三宅一生氏の美術館企画展に製作・出品した骨からくり『弓曵き小早舟』

三宅一生氏の美術館企画展に製作・出品した骨からくり『弓曵き小早舟』

 木偶というのは木彫の人形の意味ですが、それらを削りだし、細工を施し、仕上げるまでには1年近くの時間を要します。また、からくりの設計図というのはあまり残されておらず、技術は先代を見て憶えたもの。修復や復元の仕事では、その仕組に驚かされることもあります。そんな作り手の創意と向き合い「どういう仕組で動いているのだろう」と考える瞬間は何より楽しいですね。

 犬山にある13輌の車山(やま)には全てからくりの細工が施されており、父の代から手を加えてきたことが縁でこの街に招かれるようになりました。お客さんで賑わう表通りはもちろんですが、裏通りには昔ながらの古い蔵のある民家が残り、本物を感じられる場所だと思います。また今年、ユネスコ無形文化遺産の候補として山車(だし)や屋台が街を巡る全国18府県32件の祭りが一括提案されています。犬山祭も含めそのうちの10件が東海3県の祭りであるというのは素晴らしいこと。からくりの魅力を知って貰える良い機会になるのではないでしょうか。

 現在週に2日は、犬山の街の一角にある「からくり展示館」で実演を兼ねた制作を行っています。からくりの歴史は、ほとんどが資料として残らず、形や技としてのみ伝わってきました。それらを伝える場所があるということを大変嬉しく思います。歴代の作品を見ることのできる全国でも珍しい場所ですので、ぜひご覧ください。

玉屋庄兵衛さんによるからくり人形の実演は毎週金・土曜日の午前10時から午後4時。

玉屋庄兵衛さんによるからくり人形の実演は毎週金・土曜日の午前10時から午後4時。

一番重要な面をつくる作業も見ることができる。

一番重要な面をつくる作業も見ることができる。

おすすめ! お土産の達人
菜めし・でんがく  松野屋
菜めし・でんがく 松野屋

創業から変わらず同じ場所で店舗を構える老舗の田楽店。直火でふっくら焼き上げられ、焼けた味噌の香りが食欲をそそる。定食に添えられる菜めしも優しい味で田楽との相性ばつぐん。
(写真)でんがく定食 ¥1,150
TEL/0568-61-2417 定休日/木曜

達人のススメ
学校法人 至学館
伊達コミュニケーション研究所
所長 石田 芳弘

首の傾きや少しの陰影で喜びや悲しみを表現するからくり人形。それを感じる事のできる日本人の感性も素晴らしいものだと思います。ぜひ犬山祭でも玉屋庄兵衛さんが魂を吹き込んだからくり人形の妙技をお楽しみください。

2014年05月

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