2008年08月22日
「ありがとうございます」。モスクワ市内のスーパーで、レジの女性にたびたび笑顔でこう言われ、驚いた。
今月八日に赴任したのだが、二年前、留学で滞在していたロシア第二の都市サンクトペテルブルクでは、ついぞ買い物で礼を言われたことがない。
友人のロシア人に「資本主義が完全に根付いていないから、買ってもらっても感謝する気にならない」と言われ、納得していたのだが、著しい経済成長のおかげか、首都だからか、どうやら今のモスクワは様子が違う。
南オセチア自治州をめぐるグルジアとの紛争で、早期の停戦合意が実現したのは、ロシアが経済活動への悪影響を恐れたことが一因とされる。
カネもうけに血眼になるのもどうかと思うが、血なまぐさい争いよりは笑顔の「ありがとう」の方がずっといい。
(酒井和人)