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台北 気軽な集会にも底力

2008年08月22日

 北京五輪開幕の前夜、台北市の台湾民主紀念館自由広場で「人権 燭光 照北京」という集会があった。ろうそくで形作った「freedom」の文字の前で、台湾大教授らが「弱い人たちが沈黙したらいけない」と訴える。揺れる炎を映し出し、聞き入る人たちの瞳がきらめく。

 集まったのは六十人ほど。決して仰々しくはない。涼みがてら、犬の散歩で行き交う市民が耳を傾ける。ジョギングのおじさんが立ち止まる。発言者の真後ろでは子どもたちがジャンケンに興じる。

 地面に雑然と座る参加者の中に、野党民進党の蔡英文主席も普段着でひざを抱えていた。「台湾は多くの犠牲を経て人権を勝ち取った。決して当たり前でないことを若い人に分かってもらいたい」

 肩ひじ張らない集会の奥底にしんの強さを感じた。いくつもの民族と文化が混じり合う島国。大国の思惑に揺さぶられながらも、たくましく生き抜く人々の素顔を見つめていきたい。

 (栗田秀之)

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