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コタバト 切らさぬ復興への道

2008年09月03日

 「政府とMILF(モロ・イスラム解放戦線)は戦っていても、村の中ではイスラム教徒もクリスチャンも対立せず、基本的に共存しているんですよ」

 紛争の続くフィリピン南部ミンダナオ島。永石雅史さん(44)は、コタバト市に拠点を置く国際停戦監視団の一員として、1年10カ月にわたり粘り強い活動を続けてきた。

 監視団では唯一の非イスラム国民だが、他の団員たちと同じ釜の飯を食い、苦楽を共にしてきた。人懐っこい笑顔を絶やさず、フィリピン政府、MILF双方から信頼された。8月に入って和平交渉がねじれ、永石さんが取り組んできた多くの復興開発事業の地は今、戦闘の中にある。

 9月にこの地を去ることが決まった。だが、永石さんの頭の中には数年先までのプロジェクトが描かれている。ミンダナオを後にしても、立場を変えて復興開発の支援を続けていく。

 (吉枝道生)