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ソウル 兵役免除の重い一発

2008年09月05日

 「私は死んでいない」。北京五輪の韓国野球代表チームに合流するため帰国した李承ヨプ(イスンヨプ)選手(巨人)が復活を宣言したのは7月末だった。こう続けた。「韓国チームは兵役問題を解決していない後輩を含め、みんなが一つになって最善を尽くす。ほかよりチームワークがいい」

 徴兵制のある韓国では兵役法により五輪の3位以上やアジア大会の1位になると約2年の兵役が免除される。

 大量メダルとなった今大会では20人以上の若手選手が対象となったが、うち14人が野球。日本との準決勝で李選手が放ったメダル確定の決勝2ランは「重い一発」だった。

 当初、不振の李選手に対する視線は冷たかった。テレビ画面に罵声(ばせい)を飛ばしていたソウル市内の商店主は大活躍に「土壇場に強い。精神力が違う」と、評価をころっと変えた。「兵役免除ブローカー」。新聞紙上には過去の五輪やアジア大会で得た、あだ名が再び登場した。

 (福田要)