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ツェルマット 話者1%の言語守る

2008年08月29日

 マッターホルンの雄姿を見ようとスイスのツェルマットに向かった時のこと。車でドイツ国境を越え高速道路を走るうち、標識が変わっていることに気付いた。インターの出口がドイツ語の「AUSFAHRT」からフランス語の「SORTIE」になっている。

 人口七百五十万ほどだが、スイスでは四つの言語が使われる。ツェルマットは独語地域だが、途中で仏語地域に入ったのだ。地名の表記も仏語。高速走行中は読みづらく、仏語のできない旅人は戸惑うばかりだ。

 だが、言語の多様性はスイスの誇りとするところ。独仏伊の三言語に加えて、話者は人口の1%に満たないロマンシュ語も国語として保護を図る。アイヌ語を消滅寸前に追いやった日本の文化政策とは大きな違いだ。標識がまちまちなのは不便だが、地域を大事にする姿勢がスイスの魅力をつくっている。

 (三浦耕喜)

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