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パリ 通じない移民の訴え

2008年08月22日

 シャンゼリゼ通りの歩道に、菓子缶ほどの大きさの黄色い円筒が置いてある。目の前のレストラン二軒で五月からストライキを続ける従業員七十三人が、カンパを募る箱だ。

 彼らの大半はアフリカ系で、求めるのは自分たちと同じ貧しい移民の待遇改善。最近、浮かない顔になった。「道行く人が僕たちの訴えに気付いてくれない」。パリジャンは旅行に出掛け、通りではしゃぐのは、この季節にひときわ多い外国人観光客ばかり。

 募金箱に書いた「連帯」というメッセージも、「食べ放題のカルパッチョはない。終わらないストもない」という横断幕も、米国人や日本人には理解してもらえないのだ。英語のポスターは店側に禁じられた。彼らの窮状を雑誌が紹介してくれた。「でも、それもフランス語だったからなあ」

 募金箱に寄せられたのは、七月まで一日あたり約八十ユーロ(約一万三千円)だったが、八月は四分の一まで減っている。

 (清水俊郎)

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