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ニューヨーク テロ後を生きる遺族

2008年10月06日

 床をはっていた赤ちゃんはサッカー好きの少年になり、高校生の少女は立派なバイオリニストになっていた。

 ニューヨークで開かれた米中枢同時テロの追悼式。あの日から7年-。世界貿易センター跡地脇の小さな会場では、「9・11後」を生きる遺族たちが、天国の家族に向かってそれぞれの成長を報告していた。

 式典に参列した遺族たちの、さまざまな肌の色。ユダヤ人もイスラム教徒も、東洋人も黒人も。何と多様な命が失われたことか。

 会場で、日本人遺族の姿を探した。会場の一番後ろに、喪服を着た小柄な老夫婦がひっそりと立っていた。息子の写真を抱き締めた母は、コリア、と答えた。マイ、オンリー、サン。そう言うと、母はこらえ切れずに涙を浮かべた。

 9・11は、米国だけへのテロではない。大切な人が死ななければならなかった理由は何なのか。世界中で、遺族は張り裂けそうな思いを抱えて生きている。 (加藤美喜)

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