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ケルン 建前で済まさぬ独流

2008年10月20日

 まさに水に落ちた犬はたたくべし。ドイツにもはびこる極右の集会をケルンで取材したが、本当に水上に逃げた極右に市民が石を投げつけていた。

 まず、道をふさいで極右メンバーを会場の広場に入れない。小突きながら「帰れ!」と指さす。場所に困ってライン川の遊覧船を借りると、岸から石を投げて追い回す。そういった実力行使は左翼グループの若者がやっていたが、抗議デモには市長はじめ4万人の市民が参加。会場広場のレストラン店員は「みんなが広場を封鎖したので、今日の予約50件は全部パーだ」と嘆きながらも、2階の窓には「ナチス出て行け!」の垂れ幕が下がる。当然、極右メンバーの飲食はお断りだ。

 はっきり言おう。ドイツでは極右に言論の自由はない。法律上はあっても、社会がきっちり弾圧している。建前では済まさないドイツ流民主主義の力を見た。 (三浦耕喜)