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北京 近くて遠すぎる議場

2008年11月18日

 中国共産党幹部を乗せた黒塗りの高級車が、イルカの大群のように次々と人民解放軍直営のホテルへ入っていく。共産党が年に1、2回開く重要会議の始まりの合図。開会をすぐ発表しないため、張り込んで確認するのが取材の慣例だ。

 周囲にはホテルへ近づこうとする人々がいた。地方政府の腐敗や不当な立ち退きを中央幹部に訴えるため、上京した農民たちだ。悲しいかな、身なりが貧しく、ビラを詰めた粗末なカバンなどで警察にすぐ識別される。

 「どこへ行く」と詰問されたおばあさんは「て、天安門」と、20キロも離れた観光名所を挙げ、ごまかそうとした。「農民にも命がある」と殴り書きした段ボールを持った男性も即座に囲まれ、次々と車に押し込められた。

 陳情農民を排除して開かれた重要会議の今回の議題は「発展の遅れた農村改革」。悪い冗談のようだった。 (平岩勇司)

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