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ガラパゴス 所変われば貴重な虫

2008年11月19日

 エクアドル本土から西に約1000キロ。旅客機がガラパゴス諸島の空港に着陸する直前、乗務員たちは客の頭上の荷物庫の扉を次々と跳ね上げ、その内部に殺虫剤のようなスプレー缶を噴射して再び扉を閉じていった。

 諸島は「進化のショーケース」として知られる。1978年、世界自然遺産に真っ先に登録された。ゾウガメ、イグアナといった動物は各島の環境に順応し、さまざまな進化の道を歩んでいる。島の人たちは生き物に優しく、魚釣りをする子供さえ見かけない。

 島の貴重な自然は、人間がヤギ、ネコなどの動物を持ち込んだ影響で危機に陥っている。機内で荷物を消毒したのも、新たな細菌の侵入を防ぐためだった。

 安宿に到着後、部屋のドアの前でゴキブリが足元に寄ってきた。思わずけ飛ばそうとしたら、従業員が「ゴキブリだって生き物だ」と言いたげにしかめっ面をした。ここではゴキブリまで自然遺産なのか? (今里義和)