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ソウル 吐露できぬ被害感情

2008年11月20日

 米国が北朝鮮に対するテロ支援国家指定を20年ぶりに解除した。北朝鮮が今年6月に提出した核計画申告の見返り措置にあたる。4カ月前に、指定原因となった大韓航空機爆破事件の遺族から聞いた話が忘れられない。

 ソウル五輪の前年、バグダッド発ソウル行き大韓航空機が爆破され、115人が犠牲になった。北朝鮮の金賢姫(キムヒョンヒ)工作員らによるテロと断定されたが、韓国の遺族会は「韓国の情報機関による自作自演」を主張していた。

 実際に遺族会会長は電話で「事件は北朝鮮の仕業ではない」と答えた。指定解除方針にも「何も言うことはない」とにべもなかった。核問題の陰で「癒えない悲しみ」を抱える「被害者」の韓国人遺族の現在を伝えたい、というもくろみはかなわなかった。

 複雑な事情があるのだろうが、遺族の反応に少々困惑した。ただ遺族の心の中で事件が終わっていないことだけは確かだと思えた。 (築山英司)

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