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台北 孔子も戸惑う生誕祭

2008年11月17日

 ウン十年前、中学校の朝礼で校長先生らの長ーいあいさつを聞いているうちに級友たちが貧血でバタバタ倒れる光景が思わずよみがえった。儒教の祖、孔子の生誕を祝う式典が台北市の孔子廟(びょう)で開かれた時のことだ。

 式が始まって30分を過ぎたころから、雅楽を演奏し、舞を演じる子どもたちが相次いで倒れたり、舞台から退場したりした。10月とはいえまだまだ暑く、全身を覆う伝統衣装をまとっている。緊張感もあったのだろう。

 日本でも深夜の受験勉強や朝食の不摂取などで中、高校生が体調不良を訴えるのは今に始まったことではないが、ことが孔子の生誕祭となれば話は別だ。地元メディアは「式典(の雰囲気)が乱された」「時間が長すぎる」と騒ぎ立てた。

 孔子が生まれたのは2500年以上も遠い昔。当時の子どもたちも長時間立ちっぱなしだとふらついたのか、そんな事にも思いをはせながら、1時間以上の式典を見届けた。 (栗田秀之)