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綿陽 心の曇り晴れる日は

2009年01月30日

 厚い雲に覆われ、どんよりとした空。今にも雨が降りだしそうにみえるのに、四川省綿陽市の人たちは「今日は晴れている」と言う。四川盆地一帯では、秋から冬にかけて太陽はほとんどお目にかかれない。「曇り」を「晴れ」と言い換えるのは、長年の習慣なのか、あきらめか。

 四川大地震から半年が過ぎ、綿陽市内のあちこちで、被災者家族がレンガを積み上げて自宅を再建していた。女性(80)に声を掛けると、「あんたたち、なんで助けてくれないんだい」と毒づかれた。

 地元政府の職員による巡回と勘違いしたようだ。女性の息子は政府が経営する電力会社で勤務中、がれきの下敷きになって亡くなったが、何の補償もないという。

 「息子は何人も助けた後に死んだんだよ」

 絶望感や悲しみを乗り越え、息子を誇りに思う心が女性に力を与える。冬支度を急ぐ被災者たちは、人生をあきらめることなく、前に進んでいた。

 (小坂井文彦)

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