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ソウル 夢もデータも搭載中

2009年02月16日

 ハンドルと一体化したパソコンのキーボード。料金メーター横にはモニター。「こんなタクシーはソウルに一台です」。張正万(チャンジョンマン)さん(53)ご自慢の運転席は、走るネットカフェのようだ。

 パソコンはナビのほか、3年前から「観光案内に役立てたい」と独学で始めた日本語の単語帳づくりに使う。参考書で学び、日本人の客に尋ね、すでに47ページになった。

 不思議な縁で、張さんの車にもう5回乗ったが、その度、質問攻めに遭う。「『お座りください』と『お座りになってください』の違いは?」。後ろを振り返る真剣な顔に、いつも冷や汗をかく。

 タクシー運転歴30年。朝鮮戦争休戦後の厳しい時代に育ち、中学を出ていない。日本への旅行は、楽しみにとってある。

 「語学は、難しい登山。頂上には行けないから中腹で道草を食うのが楽しいんだ」。そう語る笑顔がたくましい。元気をもらいに、また乗りたくなった。

 (福田要)

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