2009年02月10日
台湾では日本語をよく見かける。日本の観光客や駐在員も多く、何より50年間という植民統治時代の名残でもある。日本語を見かけるたびにホッとする一方、複雑な思いも抱く。
「うーん」とうなってしまったのは、陳水扁前総統の逮捕を「政治的迫害だ」として開催された抗議集会の会場で、「台湾&阿扁(前総統の愛称)がんばれ!」と記された黄色い鉢巻きを見た時だ。
前総統は日本円にして約21億円を海外口座に送金して不正蓄財した、とされる。支持者の気持ちも分かるが、世論の多くは「逮捕は当然」とみており、司法の判断を見守るべきだろう。その人物を日本語で応援されても…。
その意図を聞いて、さらにうなってしまった。前総統の支持者は高齢者が多い。日本統治時代に教育を受けた、いわゆる「日本語世代」だ。その人たちに配慮してあえて日本語を使ったという。
「がんばれ」の四文字に台湾社会の縮図を見た。 (栗田秀之)