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デュッセルドルフ 移民の老後の難しさ

2009年03月06日

 健康診断のためデュッセルドルフに来て、エックス線医院の待合室にいたときのこと。受付の女性が大声を上げ始めた。「一人で来ては・ダメ。ドイツ語の・できる人を・連れてきて!」。言葉を区切り、トルコ系とおぼしき老人に言い聞かせている。

 老人は健康保険のカードを手にしている。ドイツ語がまったくできないわけでもない。片言ながら予約はあるという意味のことを訴えようとしている。

 ドイツの高度成長を支えた移民の多くが今や老境に達した。老人もその一人かもしれない。若いころはドイツ語も使いこなしただろうが、耳も記憶力も衰えれば、医者にかかるのも不自由だ。かわいそうだが、「言葉が通じなければ危険」と言うのも、もっともだ。

 日本でも働く外国人は増えたし、定年後を海外で暮らす日本人も多い。だが、老いた先には病もある。肩を落として帰っていく老人の背に、異国で老いることの意味を感じた。

(三浦耕喜)

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