2009年04月16日
マニラで築21年の古いコンドミニアム(マンション)に住んでいる。理由の一つはもちろん家賃の安さだが、10階にある自室からの眺望が気に入っている。
目の前に広がるのはビレッジと呼ばれる高級住宅街。広い構内にはヤシの木などが生い茂り、シラサギの群れが横切っていく。各邸宅にはプールがあり、ブーゲンビリアなどの花が咲き乱れる。
高い塀に囲まれたビレッジは、限られた富裕層だけが行き来する別世界。塀の外を見れば、すぐ脇に1食100円以下で食事ができるスタンドが並び、立ったまま安価な食事を取る人でいっぱいだ。1本ずつ買えるたばこを楽しむ姿もみえる。
塀を挟んで二つの世界があり、「見るだけならどちらもタダ」とつぶやきつつ眺めている。日本から知人が遊びに来たので、緑豊かな眺望を自慢してわが家を誇ったが、彼はしばらく眺めてからニヤッと笑った。「あっちには住めないの?」(吉枝道生)