2009年03月01日
先ごろ中国で大干ばつをめぐる報道がテレビや新聞を連日にぎわせた。干ばつ被害を防ごうと必死に取り組む様子が詳細に伝えられたが、どこか違和感がある。干ばつ自体は昨年末から起きているのに、メディアの報道はある日突然、一斉に始まったからだ。
中国紙記者にこの点を尋ねると、当局から報道キャンペーンを行うよう指示があったという。彼は指示の理由を「政府は常に危機感をあおることで引き締めを図っているのではないか」と“解説”した。
一方、北京中心部で起きた高層ビル火災。違法な花火の打ち上げでビル全体が炎上する映像は世界中の注目を集めたが、翌日、中国紙の大半は火災の写真を掲載せず、記事も片隅に。
明らかに不都合な話題を目立たせないようにという思惑だが、違和感を覚えたのは私だけではないはずだ。
(新貝憲弘)