2009年03月23日
国民党政権が台湾人を虐殺した1947年の「二・二八事件」に、台湾の人たちはさまざまな思いを抱いている。
父親が犠牲になり、自ら事件の真相究明を続ける遺族の一人は「知れば知るほど恐ろしく、憎い。国民党が信じられると思います?」と訴える。
台湾政府が観光名所「台湾民主紀念館」の名前を、事件当時の国民党最高指導者・蒋介石の功績をたたえる「中正紀念堂」に戻した措置に遺族らは反発するが、国民党関係者は「著名な歴史的建造物であり、『民主紀念館』では意味がない」と主張する。
国民党独裁政権時代は教科書にも載っていなかったから、事件そのものを知らない世代もいる。「時間がたち過ぎて、事件が特別なことだとは思わなくなった。今、思い返す必要があるだろうか」と吐露する事件の目撃者さえいる。
悲劇から62年。人権侵害の恐怖を語り継ぐ難しさを実感した。
(栗田秀之)