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延坪島 荒波に揺れる島の民

2009年04月12日

 「母さん。あれが僕の部隊だよ」。20代前半の兵士が声を弾ませ、民宿のバスから兵舎を指さした。

 北朝鮮が肉眼で見える、韓国北端の島・延坪島(ヨンピョンド)。兵役で防人(さきもり)となった息子を心配し島を訪れた両親を案内する道。母親は「ウン、ウン」とうなずいてみせた。

 近海で過去に二度、南北の艦船が戦い多数の死傷者が出た。南北関係悪化で北朝鮮は軍事衝突の可能性をほのめかし、漁業と基地の島には今、重苦しい空気が漂う。「島民は取材を歓迎しません」。島の役場ではっきり言われた。

 国境の海のワタリガニ漁は4月に始まる。「北への警戒から軍と警察が漁の規制を始めれば漁民との仲は険悪になる。心配はいろいろあって…」。商店主は、予想される緊張が軍事的な問題だけでは済まないことを教えてくれた。

 「なんだ、2日間だけで帰るのか」。漁師は不満げに言った。最前線で生きる人たちの本音がのぞいた。

 (福田要)

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