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釜山 国情映す 関心の相違

2009年04月04日

 「私は偽者でない」。北朝鮮工作員だった金賢姫氏と拉致被害者の田口八重子さん家族との初めての面会。韓国メディアが大きく報じたのは、田口さんや横田めぐみさんの安否情報でなく、金元工作員の1987年の大韓航空機爆破事件に関する発言だった。

 かつて韓国の革新政権下で「事件は当時の軍事政権による自作自演で金賢姫氏は北朝鮮の工作員ではない」とする仮説が広まった。金氏は12年前の結婚を機に身を隠し沈黙してきた。韓国紙記者が仮説を直接尋ねたので金氏は不快感をあらわに口を開いたのだった。

 知り合いの韓国人記者の関心は、金賢姫氏だった。拉致問題は「日朝間の課題」であり、日本を上回る拉致被害者が韓国にいても「今後も一般の関心は高まらない」という見方が大半だ。

 最近は日韓関係が良好といっても、やはり落差があることを実感した。

 (築山英司)