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上海 友好の証し 花開くか

2009年03月22日

 数は多くないが、上海の桜もそろそろ満開だ。最近、「桜を植樹したいので、苗がほしい」という中国人の相談が、上海総領事館に相次いでいる。日本への留学生が帰国後に成功し、社会貢献を考えているらしい。

 日中友好の好機。総領事館は共同で、日本ゆかりの魯迅公園に100本の植樹を検討したが、いきなり大掛かりにはいかず16本にとどまった。それでも、その後、ほかの公園や緑地でも植樹計画が進んでいるから、大きな一歩だった。

 目指すは日本の苗木が基になった米ワシントンの桜並木だ。今では、100万人近くが訪れるという。米国でも勤務した総領事によると、桜が育ち満開の花を見て、地元の人はお祭りを始めた。そして「そうそう、桜は日本人のおかげだっけ」と思い出すのだとか。

 景観、環境に友好が加わるなら一石三鳥。ただし、総領事は「花が咲く前に枯れることも多い」と付け加えた。日中友好はやはり、容易ではない。

 (小坂井文彦)