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モスクワ 官僚体質こそ危機的

2009年07月10日

 モスクワでいつも頭を悩まされるのは、あらゆる事務に絡む公証役場の手続き。順番待ちの長蛇の列にうんざりさせられ、それを助長する怠慢極まりない職員の作業に、毎回、血圧が上がる思いをしている。

 それが先日、久々に役場を訪ねてみると待つ人ゼロ。まさか臨時休業かと驚き、職員に聞くと「経済危機だからね」。不謹慎だがにやりとしてしまった。ということは超高圧的対応の職員もさすがに様変わりした?

 いや、甘かった。

 ほかに客がいないのになかなか事務所内へ入れてくれない。後で知ったがお茶の時間だった。依頼したのは委任状作成1枚だが、相も変わらず無意味な難癖をつけてくる。

 規則だからと求められて旅券を提示すると「この旅券は英語。私は読めない」。と思って用意しておいたロシア語身分証で事なきを得たが、何があっても懲りない「官僚的」体質。危機深刻化の背景を見た思いがした。

 (中島健二)