【本文】

  1. トップ
  2. コラム
  3. 世界の街
  4. 中国
  5. 北京 わが人生に悔いなし

北京 わが人生に悔いなし

2009年05月04日

 中国共産党の一党独裁廃止を訴えた声明文「〇八憲章」の主要執筆者、張祖樺さんにインタビューした。20年前、共産党員の若手エリートでつくる共産主義青年団の幹部だった。「若き日の胡錦濤国家主席と一緒に仕事をしていた」が、1989年6月4日の天安門事件で人生は一変する。

 張さんは当時、学生の民主化運動を支持。党が若者の主張に応えるよう期待したが、軍が学生を射殺する光景を目撃する。「私はあの時、党内改革派から反体制に転じました」

 エリート街道を歩んでいれば、権力を握る党幹部になっていただろう。家族をコネで企業幹部に就け、引退後も運転手と高級車が与えられる暮らしが待っていた。

 現実は、作家として日々をしのぎ、警察に監視される生活。「〇八憲章」の発表で、いずれ拘束されることも覚悟する。「私が犠牲になっても、中国が民主国家に変わればいい」。表情は穏やかだった。 (平岩勇司)